2018.6.20カテゴリー:印鑑について
皆さんの中には、起業を志している人もいるでしょう。
ビジネスのアイディアを練ることも大切ですが、それだけでは起業できません。
様々な登録をしたり、物を揃えたりする必要があるのです。
「そのくらい知っているよ」と思われた方もいるかもしれませんね。
では、その方々にお聞きします。
起業するためには、どのような印鑑を用意すればいいかご存知ですか?
即答できる人は少ないでしょう。
これを機に、起業に必要な物をもう一度確認しましょう。
今回は、起業に必要な印鑑をご紹介します。
□【起業に必要な4つの印鑑】
起業したり、会社を設立したりする際は、法務局に登記申請をしなければなりません。
登記申請をする際には、会社実印(代表社印)が必要となります。
会社実印さえあれば、手続きをするうえで不都合はないでしょう。
しかし、これからビジネスを行っていくのに、会社実印だけでは不都合が生じてしまうのです。
もしもの場合を考えてみてください。
1つの印鑑だけで様々な取引をしてしまっては、紛失、盗難の際に会社の存続が危うくなってしまいます。
このようなリスクを回避するためにも、次の4つの印鑑を用意してください。
*会社実印(代表社印)
先ほどにもお伝えしたように、この印鑑は法務局に登記申請を行う際に使います。
それ以外にも、重要な契約を締結する際に用いることがあるのです。
会社を表す印鑑と言っても過言ではありません。
社長である自分が納得できる印鑑を作成してください。
会社実印を作る際に、これといった規定はありません。
直径18mmの丸印で、外側の円に会社名、内側の円に役職名を記載して作るのが一般的です。
他の印鑑は会社ができてからでも作成できます。
会社実印だけは、会社設立の前に必ず作っておきましょう。
*会社銀行印
会社銀行印は個人の銀行印と同じように、銀行口座の開設など、銀行に関する手続きを行う際に使われる印鑑です。
紛失や盗難時のリスクを分散したり、使用頻度も高かったりするため、専用の銀行印を作っておくのが一般的とされています。
万が一の事態は起きてからでは取り返しがつきません。
あらゆる可能性を考慮して、万全の準備をしておきましょう。
会社銀行印は、区別がしやすいように会社実印よりも一回り小さくして、外側の円に会社名、内側の円に「銀行之印」を記載して作られます。
会社銀行印は会社の経営状態を管理してくれる印鑑です。
会社実印よりも重要性は低いかもしれませんが、同じくらい厳重な管理をするようにしてください。
*角印(社印)
今までに会社員として働いたことがある人には、見覚えがあるはずです。
角印は、注文書や請求書などの社外文書や稟議書などの社内文書に用いられます。
認印のような存在ですね。
角印は会社名を記載することで作られます。
上の2つに比べれば重要度は低いかもしれません。
だからと言って、紛失したり、盗まれたりしても大丈夫というわけではありません。
丁寧な管理を心がけてください。
*住所印(ゴム印)
住所印は角印と同じような使い方をします。
会社名、会社の住所、電話番号を記載する社外文書や社内文書に利用されるのです。
起業した当初は、様々な手続きをすることになるでしょう。
住所印があれば住所などを書く手間を省くことができます。
時間が短縮できるため、用意しておくべき印鑑と言えるのではないでしょうか。
□印鑑の具体的な役割について
*会社実印の役割
会社実印は先ほど軽く触れた通り、契約時に必要となる重要な印鑑です。
法人実印としての役割を持っており、会社の意思や、契約がきちんとしたものであることを会社実印の押印によって表現します。
これらを重んじる意思を表現するために、認印ではなくあえて会社実印を選択する会社もあるようです。
また、法人として法的に届けを出した印鑑が会社実印であるため、認印よりも有効性を立証しやすいです。
会社実印の平均的な大きさは18ミリ程度で、丸い形にするのが一般的です。
「印影は1辺1センチ~3センチの正方形に収まるようにする」という規定があるので、注意しましょう。
*角印の役割
角印は具体的には、領収書や請求書など、日常的な一方通行の書類に使われることが多いです。
自分の会社が出した書類であることを証明しつつも、前述の会社実印を使うほどではない書類によく使われます。
なお、住所印も角印と同じような使い方ができますが、自筆サイン代わりにも使えて業務効率の向上に役立ちます。
お金に余裕のある場合は、セパレートタイプの住所印を導入するのがおすすめです。
住所印が無くても会社は設立できますが、作っておくと便利です。
□【印鑑の法的効力について】
先ほど、起業に必要な4つの印鑑をご紹介しました。
様々な役割に分けられていましたが、法律上だと印鑑の違いがなくなってしまうのです。
つまり、どの印鑑を使っても、捺されていれば法的効力、証拠能力は変わりません。
会社員を作成したときは、このことを頭に入れて管理したり、運用したりするようにしてください。
□印鑑の材質には何を選べば良い?
必要な印鑑は分かったけれど、会社設立時に必要な印鑑をどの素材で作るべきか、迷われる方もいらっしゃるかと思います。
会社設立時に必要な印鑑の材質としてよく用いられる素材を、3種類紹介します。
1つ目は柘(つげ)を使った印鑑です。
柘は木材の1種で、軽くて耐久性が高いのが特徴です。
印鑑に適した特徴を持っているため、最も多くの会社の印鑑の素材がこの「柘」でできていると言われています。
しかしデメリットもあり、木材であるがゆえに目詰まりや劣化が起こりやすいです。
また、柘は安っぽいイメージを持たれがちです。
特に印鑑の素材にこだわりのない方は、柘を選んでも良いですが、会社にとって重要な印鑑である銀行印や実印は特に、もう少し上のランクの材質がおすすめです。
ちなみに当社が印鑑づくりに使っている柘は、「薩摩本柘」という最高級の柘です。
木材系の印鑑の中では粘り気があって密度が濃く、印材に適した素材です。
2つ目は、黒水牛を使った印鑑です。
水牛の角を使った印鑑で、黒いのは印鑑づくりの最後に黒い染料で真っ黒に染めるためです。
柘よりも値段は張りますが、他の角材質の印鑑と比べるとお手頃で、耐久性が黒水牛の方が高いです。
また印影が美しくなるため、銀行印や実印に特におすすめの材質です。
印鑑によって模様が異なり、朱肉を付けると黒水牛ならではの美しさが醸し出されます。
以上の理由から、黒水牛は定番の印鑑素材として、長い間その地位を保ってきました。
デメリットとしては、乾燥によって割れや歪みが生じやすい点が挙げられます。
当社の印鑑は、歪みの生じにくい「芯持ち」の黒水牛を使用していますが、水牛系の素材には適切な管理が必須です。
エアコンの暖房が印鑑に直接当たらないようにしたり、メンテナンスを定期的に行なったりすることで、半永久的に使用できるようにしましょう。
3つ目は、チタンを使った印鑑です。
今回紹介した印鑑素材の中では最も高級ですが、金属製にもかかわらず軽くて捺印性能が高く、また強度や耐久性が印鑑の中でも最高水準です。
そのため落としても印鑑の欠けや割れが起こりにくく、また摩耗も起こりにくい素材で、長期間同じ印鑑を使い続けられます。
さらにメンテナンスとして水洗いもできるため、非常に楽です。
デメリットとしては、チタンが彫刻刀よりも硬いため手彫りができない点が挙げられます。
偽造されにくい印鑑をつくるうえで、手書き文字での作成がおすすめです。
□知っておくべき印鑑使用上の注意点
最後に、印鑑を使用する際の注意点を2つお伝えします。
1つ目は、三文判の印鑑を会社で使う印鑑にしないことです。
ホームセンターや文房店、100円ショップで入手できるような印鑑は大量生産されています。
そのため、あなたと同じ印鑑を購入してしまえば、会社の名前を使って様々な悪事が行われてしまうのです。
トラブルを避けるためにも、手彫りの印鑑を会社で使う印鑑にしてください。
2つ目は、捨て印や白紙委任状への押印は避けることです。
捨て印とは、契約書で訂正する箇所が出てきてしまった場合を想定してあらかじめ欄外に押しておく印鑑が捨て印、代理人や委任内容が白紙の委任状が白紙委任状です。
会社で使う印鑑をこのような使い方をしては、トラブルの種となってしまいます。
信用できる取引相手でもしないように心がけてください。
今回は、企業に必要な印鑑をご紹介しました。
会社は設立して終わりではありませんよね。
ビジネスを継続的に行えるようにしなければなりません。
そのためにも、会社の命運を握る印鑑は不備なく準備するようにしてください。
必要な物を揃えて、あなたの夢を叶えませんか。