2023.6.30カテゴリー:印鑑について
印鑑は、基本的に自分だけのたった1つのものです。
しかし、中には他人の印鑑を偽造して不正利用するといったケースも少なくありません。
特に、最近は機械の発達によって印鑑の偽造が比較的容易にできてしまっているのが現状です。
印鑑を偽造されて不正利用されないためにも、印鑑偽造の背景や対策について知っておくことで、いざ何かあった時に即座に対応ができます。
そこで今回は、印鑑の偽造方法の実例や偽造されないための対策についてご紹介します。
印鑑を愛用している方やこれから契約で印鑑を使用するという方は、ぜひ参考にしてください。
□偽造行為に注意!印鑑は複製できるの?
実印は、個人が持つたった1つの印鑑なので、日頃から大事に保管する必要があります。
しかし、場合によっては印鑑をなくしてしまったり、どこに保管したか忘れてしまったりすることもあると思います。
実印をなくしてしまったり、どこにあるか分からなくなったりした場合は、実印の廃止届けと再登録を行わなければなりません。
そういったことを想定して印鑑を複製して予備用として使おうとするケースがありますが、これは間違いです。
実印は複製が不可能です。
これは、刑法で禁止されているためです。
また、ネットでよく見るはんこ屋さんでも基本的に同様の印影ができる印鑑の作成はしません。
作成をしてしまうと、偽造に対する防犯性の信頼が薄れてしまうためです。
一方で、スタンプやゴム印が作れるケースもあります。
これは、スタンプやゴム印は実印として登録が不可能なためです。
□印鑑の偽造方法の実例
前の章で、実印の印鑑の複製は違法行為であることをお伝えしました。
一方で、中には法律の目をかいくぐって実印や銀行印などを偽造して不正利用するというケースも存在しています。
そこで、この章では印鑑の偽造方法の実例と印鑑偽造の見破り方をご紹介します。
*3Dプリンターで偽造
3Dプリンターは、普段は便利なものですが、印鑑偽造に悪用されたケースがあります。
3Dプリンターの性能やタイプによって仕上がりは左右されるため、うまくいかない場合もありますが、近年の3Ⅾプリンターの発達によって一般化しているのが現状です。
*印鑑複製サービスの利用
これは、町のはんこ屋さんやネット通販を通じてプロに作成をお願いするケースです。
先ほどもご紹介したように、基本的に実印や銀行印などの印鑑は複製ができません。
しかし、実際は印鑑の複製をしてしまっているケースもあります。
これには1つの理由があります。
昭和の時代に銀行でお金を下ろす際には印鑑が必要でしたが、印鑑が欠けてしまったり、印影が合わなかったりするとお金が下ろせませんでした。
そのような事態を防ぐためにはんこ屋さんに頼んで作り直しが行われていた過去があり、現在もその名残が残っている場合が存在します。
元々は、はんこ屋さんの善意によって行われていたため、被害を受ける人は少なかったと考えられていますが、このような善意と技術を悪用するという事例も存在しています。
*偽造の見破り方
印鑑偽造を確認する際は、印章鑑定で見破る方法がありますが、印章鑑定で見破ることは難易度が高いです。
そのため、対照資料や鑑定資料の原本を用いて、真正な印鑑の確認を行わなければなりません。
実際に偽造されているかの確認では、彫られている印影の輪郭線や文字線画の計測を行い、その中で特徴点を探しながら鑑定資料との比較鑑定を行います。
特に、印鑑が人間の手によって彫られている場合は、偽造防止用の特徴点が見つかることが多く、偽造が見破りやすいです。
□要注意!印鑑の偽造を行うと罪に問われる?
印鑑の偽造を行ってしまうと、罪に問われる可能性が出てきます。
「私印偽造及び不正使用等罪」、「私文書偽造等罪」、「公文書偽造等罪」等が成立する場合があります。
ここからは、この3つについてそれぞれ詳しく見ていきましょう。
*私印偽造及び不正使用等罪
この罪においてポイントとなるのが、行使の目的の有無です。
偽造された印鑑を使用するつもりがない場合は、この罪が成立することはありませんが、使用する目的で偽造した場合は、実際に使用した本人でなくても成立してしまいます。
そのため、偽造して第三者に渡しただけとなっても、その第三者が使用すると作成者にも罪が科せられます。
*私文書等偽造罪
偽造した印鑑の使用方法によっては、私文書偽造等罪が成立してしまう可能性があります。
この罪は、印鑑を偽造することに対しての罪ではありませんが、偽造した他人の印鑑を使用したり、他人の印鑑を使用したりして文書を作成した際にこの罪が成立します。
*公文書偽造等罪
公務員等の印鑑を偽造して文書を作成すると、この罪が成立します。
この罪は、比較的罪が重く、最長で10年ほどの懲役刑が科される可能性があります。
パスポートや運転免許証も公文書であるため、偽造するとこの罪が成立します。
□印鑑を偽造されないために!偽造されにくい印鑑を作る方法とは?
ここまで印鑑偽造の実例や印鑑偽造によって問われる罪についてご紹介してきました。
ここでは、私たちが印鑑を偽造されないための工夫についてご紹介していきます。
偽造されにくい印鑑を作るには、手彫りが良いとされています。
印鑑の偽造にはさまざまなタイプのものがありますが、その中で最も容易に印鑑偽造が可能な例が、印影をスキャンして専用の機械を使って彫り上げる方法です。
この際、手彫りの印鑑であれば、それを完璧に写し取るのは難しくなります。
□不正されやすい!電子印鑑のデメリット!
通常の印鑑だとなくしやすいし不正もされやすいことから、電子印鑑の方が良いのではないかとお考えの方もいると思います。
しかし、電子印鑑にもデメリットがいくつか存在します。
そこでこの章では、電子印鑑のデメリットを2つご紹介します。
1つ目が、契約書内容が改ざんされる恐れがあることです。
書面契約においては、原本を保管することで文書の信頼性が担保されていました。
しかし、電子ファイルを使った契約等については、文書の改ざんやコピーが簡単にできてしまいます。
そのため、セキュリティ対策はしっかりとしておく必要があります。
2つ目が、本人が捺印したのかの証明が不可能なことです。
書面契約においては、その人が所有している実印を押印することによって、本人確認ができていました。
一方で、電子印鑑の場合は実印を押印できないため、その人が本当にその契約を行ったのかが判断しにくくなります。
このリスクを減らすためには、電子署名を使うことがおすすめです。
電子署名においては、暗号が付与されていたり、タイムスタンプ機能や本人確認機能が付いていたりするため、書面の効力が担保されます。
□まとめ
本記事では、印鑑の偽造方法の実例や対策についてご紹介してきました。
偽造されにくい印鑑を作るためには、手彫りでの作成が一番有効です。
偽造する際は、専用の機械で印影をスキャンして作り上げるのが最も多いケースとされていますが、手彫りであれば機械での完璧な写し取りは難しく、印鑑の偽造もされにくくなります。
そのため、印鑑を偽造されることに不安がある方は、手彫りでの作成をおすすめします。
当社では、10年以上の経験を積んでいる彫刻職人が手仕上げでお客様だけのオリジナル印鑑を作成しますので、ぜひ一度お問い合わせください。