2023.2.15カテゴリー:印鑑について
大人になるにつれて、印鑑を押す機会は増えていきます。
それに伴い、印鑑は日本の文化やビジネスの中で欠かせない存在なのです。
しかし慣れるまでは、印鑑を綺麗に押すのは難しいですよね。
「少しかすれてしまったけれどこのまま提出してよいの?」、「どうしたら印鑑を綺麗に押せるの?」など、印鑑に関してお悩みの方は多いでしょう。
印鑑を正しく、そして美しく押す技術や、失敗した際の正しい訂正方法を知っておいて損はありません。
そこで今回は、以下の6点を解説します。
1.印鑑有効の判断基準
2.印鑑の種類による判断基準の違い
3.正しい印鑑の訂正方法と間違った訂正方法
4.印鑑を綺麗に押すコツ
5.なぜ訂正印で訂正してはいけないのか
6.ハンコがきれいに押せない理由
当記事により、印鑑にまつわる皆さんのお悩みを軽減できたら嬉しいです。
□どの程度のかすれだと有効ではなくなるの?
印鑑は同じようにかすれていても、その書類や印鑑の種類によって有効か無効かが変わります。
一般的な書類の場合、「文字が判読可能」であれば印鑑として有効といえます。
つまり、以下の状態であれば押し直しが必要といえるでしょう。
・文字の一部が完全に欠けている
・印影(ハンコによる朱肉の跡)が全体的に薄れている
・朱肉がにじんでいる
・上下逆さま
このような状態では、文字の判読が難しくなります。
判読ができないと印鑑としての有効性を持たないため、どんな書類であっても押し直しが必要になります。
ただし反対に、文字が判読できる程度の欠けやかすれでは訂正の必要はないといえます。
他にも、多少斜めになっている場合でも訂正は必要ありません。
ただしマイナスの印象を与える可能性は否めないので、採用や合否が関わる書類では押し直しをするのがおすすめです。
□印鑑を訂正する際の法律的な根拠
印鑑の訂正は、契約書や重要な書類において、法的効力を有する行為です。
そのため、正しい方法で訂正を行うことが重要となります。
ここでは、印鑑を訂正する際の法律的な根拠について解説します。
1: 当事者間の合意が原則
印鑑の訂正は、基本的には当事者間の合意が原則です。
一方的に訂正を行うことは認められていません。
例えば、契約書に印鑑を押す際に、誤って氏名を書き間違えてしまった場合、相手方と訂正内容について合意し、その内容を文書で確認する必要があります。
2: 不正な訂正は犯罪となる可能性
印鑑の訂正を不正な手段で行うことは、刑事罰の対象となる可能性があります。
例えば、偽造された印鑑を使用したり、原本を改ざんしたりすることは、刑法上の「有印私文書偽造罪」に該当する可能性があり、3ヶ月以上5年以下の懲役が科せられる場合があります。
3: 訂正の証拠を残す
印鑑の訂正を行う際は、訂正の証拠を残すことが重要です。
具体的には、訂正内容、訂正日時、訂正を行った者の氏名などを記録しておく必要があります。
証拠を残しておくことで、後からトラブルになった際に、正当性を主張できます。
□印鑑の正しい訂正方法
印鑑を正しく訂正するには、いくつかの手順を踏む必要があります。
ここでは、一般的な訂正方法をご紹介します。
1: 誤った印影に二重線を引く
まず、誤った印影に朱肉を用いて二重線を引きます。
二重線は、印影全体を覆うように、しっかりと引くことが重要です。
2: 訂正印を押す
二重線を引いた後に、訂正印を押します。
訂正印は、朱肉を用いて、誤った印影と一部が重なるように押すのが一般的です。
訂正印には、認印や社印などを使用できます。
3: 訂正箇所を明確にする
訂正箇所を明確にするために、訂正内容を記載した付箋を貼ったり、訂正箇所を囲むように線を引いたりすることも有効です。
4: 訂正日時と氏名を記載
訂正を行った日時と氏名を、訂正箇所の近くに記載しましょう。
□印鑑の訂正に関するよくある間違い
印鑑の訂正に関するよくある間違いには、以下のようなものがあります。
1: 二重線を引くだけ
二重線を引くだけでは、誰が訂正したのかが不明確です。
改ざんの疑いを招く可能性もあるため、必ず訂正印を押すようにしましょう。
2: 修正液を使用する
修正液を使用すると、改ざんの疑いをかけられる可能性があります。
また、見た目が悪くなるため、ビジネス文書では使用を避けましょう。
3: かぶせて押印する
誤った印影にかぶせて押印することは、改ざんの疑いがあるため、避けるべきです。
印影を重ねて押すことは、元の印影が判別できなくなる可能性があります。
4: 横に正しいハンコを押すだけ
誤った印影の横に正しいハンコを押すだけでは、訂正したことにはなりません。
どちらが正しい印鑑なのかが明確ではないため、訂正印と二重線で訂正を行うようにしましょう。
5: 訂正印(小さい認印)を押印する
訂正印と呼ばれる小さい認印は、ハンコの訂正には使用できません。
訂正印は、誤った印影を訂正するために使用されるものであり、認印とは異なるものです。
このように、印鑑の訂正は、法律的な根拠に基づいた正しい方法で行う必要があります。
当事者間の合意が原則であり、一方的に訂正を行うことは認められていません。
不正な手段を用いて訂正を行うことは犯罪となる可能性もあるため、注意が必要です。
印鑑を正しく訂正するには、誤った印影に二重線を引いたうえで、訂正印を押す方法が一般的です。
訂正印は、朱肉を使用し、誤った印影と一部が重なるように押す必要があります。
また、訂正日時と氏名を記載することで、改ざんの疑いを避けられます。
□実印か認印かによってもその基準は変わります!
そもそも実印とは、お住いの自治体役場で印鑑登録を行い、公的に認められた印鑑のことです。
具体的には、不動産取引やローン契約など重要な書類へ署名捺印するときに使用されます。
一方で、認印は日常でサインや押印が必要なときに幅広く使用される印鑑全般のことをいいます。
先ほど説明した通り、認印であれば文字の判読ができれば多少かすれていても問題はありませんが、この実印の場合は、そうはいきません。
なぜなら、実印は登録して発行した印鑑証明にある印影と照合できて初めて印鑑としての有効性を持つためです。
そのため、実印の場合は、もう少し厳格な判断基準を持つ必要があるでしょう。
具体的には、「必要な実線が全て表示されているか」です。
□印鑑の訂正方法をご紹介!
*正しい印鑑の修正方法
どんなに注意していても印鑑がかすれてしまうことはあるでしょう。
そこでここでは正しい印鑑の訂正方法について解説します。
step1:失敗した印影の上にボールペンで二重線をひく
step2:その上に訂正印として一部が重なるように押す
step3:2つの印鑑とは離して実印を正しく押印する
step1:失敗した印影の上にボールペンで二重線をひく
二重線により、この印影が間違ったものであることを証明できます。
これは消せない黒いインクで引くようにしましょう。
step2:その上に一部が重なるように押印する
こちらは訂正印としての役割を持ちます。
これがあることにより、先ほどの印影が誰によって訂正されたのか明確にできます。
step3:2つの印鑑とは離して実印を正しく押印する
これまでの2つの手順があって初めてこの印影が実印として認められます。
ここでは特に、必要な実線が全て表示されるように慎重に押すようにしましょう。
始めの2つの印鑑を重ねることでどちらも不完全となり、実印としての効力を持たなくなることが最も重要なポイントです。
3つ目の印鑑も失敗してしまったら同じように押しなおすことで形上の修正は可能ですが、肝心な実印がみにくくなってしまう、ミスが多い人という印象を与えるといったリスクがあり、何度も修正するのはあまりおすすめできません。
*よくある間違った訂正方法
1.二重線を引くだけ
二重線が引かれていれば、その印鑑が間違ったものであることは分かりますが、だれが訂正したのか分かりません。
二重線を引くだけなら他人でも簡単にできてしまいますよね。
訂正者を明確にするためにも、間違った印鑑に訂正印を押すことは重要なのです。
2.修正液を使う
修正液や修正テープを用いれば失敗した印鑑を消すことができますが、これでは1と同様に誰が修正したのか分かりません。
また、重要な書類に修正液や修正テープを使うと不誠実な印象を与えかねないため、避けた方が良いでしょう。
3.かぶせて押しなおす
一部かすれてしまった場合、上から押しなおすことで欠損部をフォローしようとする方がいますがこちらもNGです。
どれだけ慎重に位置を合わせても、完全に重ねることはできません。
特に実印では機械による照合が行われるため、小さなずれも認められません。
隣に正しいハンコを押印するだけ
これではどちらが正しいハンコなのか分かりません。
訂正する場合は必ず二重線、訂正印とセットで行いましょう。
□印鑑をきれいに押すコツを解説します!
ここまで印鑑の有効性の基準と訂正方法について解説しましたが、特に採用や合否に関わる大切な書類では印象を良くするためにも、印鑑を綺麗に押したいと思う方も多いです。
そこでここでは、印鑑を綺麗に押す方法を4つのステップに分けて解説します。
step1:押す前に印字面を確認する
step2:印字マット(なければノートなど)を用意する
step3:軽く3回程度たたくように朱肉を付ける
step4:上からまっすぐ押す
step1:押す前に印字面を確認する
ここでは、印鑑の向きを確認するだけでなく、ごみや欠けがないかをチェックしましょう。
ゴミが詰まっている場合は先の細いもので取り除き、汚れている場合はティッシュなどで拭いておくことで、押したときに文字がつぶれるリスクを軽減できます。
step2:印字マット(なければノートなど)を用意する
机など硬い面の上で印鑑を押すと、印鑑と書類が密着しにくく、ずれやかすれが生じやすくなります。
そのため可能であれば印字マットを、なければノートなど柔らかいものを下に敷くと良いでしょう。
step3:軽くたたくように朱肉を付ける
印鑑に朱肉を付ける際押さえつけるのはNGです。
押さえつけてしまうと、印鑑の溝にインクが溜まりやすく、文字のラインが綺麗に出にくくなります。
軽く3回程度たたくように朱肉を付けましょう。
step4:上からまっすぐ押す
押印面を見て印鑑の向きを確認し、中心に向かって上から垂直に押印しましょう。
押す際はすぐには離さず、ずれないように注意しながら重心を一周くるりと動かせばフチの欠けを防げるでしょう。
□ 押し直しではなく訂正印で訂正してはいけないの?
訂正印という言葉は、日常的にもビジネスの場面でも頻繁に耳にするでしょう。
多くの人々がこの言葉自体は知っているものの、その背後にある深い意味や、正確な使用方法については十分に理解していないことが多いのです。
「訂正印」という言葉には、実は2つの意味が隠されています。
1つ目は、訂正の際に使用する特化した印鑑のことで、文書上の誤りや変更を明示的に示す意味です。
2つ目は、訂正を行った人物を特定するための印鑑のことで、訂正を行った人物の責任を明確にする意味です。
実印は、個人や法人の正式な代表印として使用されるもので、重要な契約書や公的な書類に捺印されます。
訂正印は、文書の一部を訂正する際に使用されるものです。
しかし、実印を使用するような重要な契約書での訂正には、訂正印の使用はおすすめしません。
第三者の介入を防ぐために訂正印であっても個人が特定できるもの、つまり実印を使用するのが最も適切だとされています。
訂正印を使用するときには、どの部分が訂正されたのかを明確にするために、訂正箇所の近くに訂正印を押すことと訂正箇所の内容をはっきりと書き直し、その上で訂正印を押すのがポイントです。
訂正印の使用は、文書の信頼性や正確性を保つための重要な手段なのです。
そのため、訂正印を使用するのではなく、押し直しをしましょう。
□ハンコが綺麗に押せない理由とは?
印鑑を使用する際には、綺麗に押すことが求められます。
失敗することは誰にでもありますが、その原因を正確に知り適切な対処をすることで、次回からの失敗を防げます。
ハンコが綺麗に押せない理由は以下の3つです。
*押印する場所が悪い
印鑑を押す場所の選び方は、印鑑が綺麗に押せるかどうかに影響します。
平らでない場所や柔らかすぎる場所では、印鑑が均等に押せず、印影が不鮮明になってしまいます。
また、硬すぎる場所では、印鑑の材質によっては破損のリスクもあるので注意が必要です。
このような問題を避けるために、捺印マットの使用をおすすめします。
捺印マットは、印鑑を安定して押せるように設計されているため、綺麗な印影が得られるのです。
捺印マットがない場合は数枚下に紙やティッシュを敷くことで対応できます。
*朱肉の付け方が悪い
朱肉の付け方は、印鑑の出来上がりに影響します。
適切な量の朱肉を均等に付けることで、鮮明な印影が得られます。
しかし、強く押し付けると印影が滲んだり、文字やデザインが不鮮明になってしまいます。
また、朱肉が古くなると朱肉のノリが悪くなるため、定期的な交換が必要です。
*ハンコの押し方が悪い
印鑑の押し方には、テクニックがあります。
力加減や角度、押す速度などのポイントを押さえましょう。
印鑑を垂直に保ちながら、均等な力でゆっくりと押すことで、ハンコが綺麗に押せます。
また、紙からハンコを離すまで気を抜かないようにしましょう。
以上のように、印鑑を綺麗に押すためにはコツがあります。
正しい知識とテクニックを身につけることで、綺麗にハンコが押せるようになるでしょう。
□まとめ
今回は、印鑑の判読方法から訂正方法、綺麗に押すコツなど、印鑑にまつわる多くの情報を提供いたしました。
ぜひ押さえてほしい、重要なポイントは以下の通りです。
・一般的な書類に用いられる認印では「文字が判読可能」であれば有効
・実印では「必要な実線が全て表示されていれば」有効
・正しい印鑑の訂正方法は、二重線を引き重なるように訂正印を、ずらして実印を押す
・印鑑を綺麗に押すためには、たたくように朱肉を付け、上からまっすぐじんわりと押す
・重要な契約書では、訂正印を使用しない
・印鑑を押すときは、捺印マットを用意する
綺麗に印鑑を押せるようになれば、これまでの多くのストレスから解放されるでしょう。
まずは当記事で紹介した、「印鑑を綺麗に押す方法」を実践してみてください。
ハンコの使用や訂正には、ポイントやテクニックが存在します。
この記事を参考に、正しい印鑑の使用法や訂正方法を身につけ、ビジネスや日常生活での印鑑使用をよりスムーズに行いましょう。
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