2021.7.12カテゴリー:印鑑について
「シャチハタ以外の印鑑でお願いします」と言われた経験はありませんか。
そのような際には、多くの方がなぜ使えないのだろうと疑問に思ったはずです。
使用する機会は多いですが、他の印鑑との違いまでは分かりませんよね。
この記事では、シャチハタと他の印鑑の違いについて解説するので、ぜひお役立てください。
□他の印鑑とシャチハタの違いとは?
シャチハタはシヤチハタ株式会社が開発した商品「Xスタンパー」のことを指す言葉だとご存じでしょうか。
シャチハタ株式会社は、Xスタンパー以外にも、さまざまな印鑑を開発しました。
しかし、商品のほとんどが本体にインクを含んでいる「インク浸透型」だったため、多くの方が朱肉やスタンプ台がなくても使える印鑑のことをシャチハタと認識しているのです。
では、具体的にどのような部分が異なるのでしょうか。
最も分かりやすい違いは、他の印鑑は木材や角材、金属材などの硬い素材を彫った印面であるのに対し、シャチハタの印面は特殊なゴム製だということです。
他の印鑑とは異なり、朱肉を使用しない代わりに、ゴムを通してインクがしみ出る仕組みになっています。
また、シャチハタは大量生産されているため、同じ印面のものが世の中にたくさん出回っています。
このように、他の印鑑とは異なる点があることを覚えておきましょう。
□認印とシャチハタの違いとは?
多くの人が混同しがちな認印とシャチハタですが、この2つはイコールではありません。
認印は、実印登録がされていないハンコ全般を指します。
目的によって分類される印鑑の一種です。
ちなみにシャチハタも実印登録ができない決まりになっているので、全てのシャチハタが認印と言えることになります。
シャチハタは、素材別で分類されたハンコの1種です。
先ほど述べた素材の特徴に当てはまるものがシャチハタです。
そのため、認印全てがシャチハタというわけではありません。
つまり認印とシャチハタは、そもそもの分類分けが違うため、必ずしもイコールで結ぶことはできません。
認印に分類されたシャチハタであっても、重要な書類に使用できないので注意しましょう。
しかし、シャチハタには朱肉を付ける必要が無いという利点があります。
それゆえ、認印とシャチハタとで使い分けることによって、事務作業がスムーズに進められます。
□シャチハタと印鑑の詳細な違いについて
ここからは、シャチハタと印鑑の違いについて、さらに詳しく見ていきます。
*朱肉かインクかの違い
先ほど述べた通り、シャチハタは内蔵されたインクを朱肉代わりに使います。
スタンプ形式でどんどん押せるため、乾くのも早いです。
しかしシャチハタは使用されているインクの特性として、変色が起きる可能性があるので注意しましょう。
*印面の違い
印鑑の印面は、木材・金属材・角材などを、手彫りか機械彫りで作成しています。
一方でシャチハタは、特殊なゴム材をレーザー加工かプレス加工することで作成しています。
レーザー加工に関しては、細かい印面の線まで作り出せるので、印鑑とほとんど見分けのつかない印影ができます。
ただし、シャチハタの印面は、書体が同じものだと全く同じになります。
これが先ほど紹介した、シャチハタが重要書類に使えない理由の1つになります。
シャチハタの印面は、同じ書体で制作されたものだと印面が同じになってしまうため、特定の個人が持つハンコかどうかを見分けられなくなってしまうのです。
契約において重要なのは、「契約を本人が認めたことを、時が経っても証明できる」ことです。
そのため他の人の持つハンコと被ってしまったり、印影が経年劣化で変わってしまっては、本人が認めたかどうかの判別がつかなくなってしまいます。
これがシャチハタの弱点になります。
*素材の違い
シャチハタが特殊なゴム材で作成されていることを紹介しましたが、一方の印鑑には様々な素材が使われています。
主に印鑑に使われている素材は
・ゴム材
・木材
・金属材
・角・牙材
・樹脂材
などです。
印鑑はシャチハタと比べ、硬めの素材で作られます。
このことにより、印面の経年劣化や使い続けることによる変形が起きにくくなり、印鑑が本人証明として使えるようになるのです。
一方のシャチハタは、柔らかめの素材であるゴムでできています。
いくら特殊なゴムとは言え、経年劣化や使い続けることによる変形は印鑑よりも起こりやすいです。
また、押す人の力加減によっては、インクの量やにじみ方に振れ幅が出てしまう可能性があります。
そうなると印影が一定に定まらなくなってしまうため、本人証明が難しくなってしまいます。
とは言うものの、シャチハタの特殊ゴム素材は、視点を変えれば利点になります。
例えば特殊なゴム製だからこそインクを浸透させることができ、朱肉が必要なくなりますし、ゴムならではの弾力性によって、捺印マットを下に敷かなくても押印しやすくなっています。
重要な契約や書類でなければ、効率的にたくさんのハンコを押してサインの代わりにもできるので、場面によって使い分けると良いでしょう。
□シャチハタが使用できない場面とその理由について解説!
ここまでは、他の印鑑との違いについて解説しました。
次は、シャチハタを使用できる・できない場面について解説しましょう。
事前に確認しておくことで思わぬミスを防げるでしょう。
まず、使えないのは、長期的な保管を必要とする書類や本人確認を要する書類です。
例えば、不動産契約書などの契約関係書類や役所や税務署に提出する公的な書類ですね。
このような書類には、朱肉を用いて押す印鑑を使いましょう。
また、印鑑登録する際や銀行印としても使えないので、しっかり把握しておいてください。
一方で、使用できるのはどのような場面なのでしょうか。
私たちに身近なところでは、郵便物の受け取りサインや回覧板などのサインです。
このような場合には使用できますので、安心して押してください。
*シャチハタがNGである理由とは?
では、なぜ重要な書類には使用できないのでしょうか。
大きく分けて3つの理由があるので、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
1つ目は、ハンコが変形することです。
シャチハタは、印面がゴムでできているため、とても柔らかくなっています。
見た目はほとんど変わりませんが、使い続けているうちに少しずつ形が変化し、場合によってはゴムが欠けることもあります。
そのため、長期間保存する書類には向いていません。
2つ目は、インクが消えてしまうことです。
使われているインクは、ゴムでも浸みだすように浸透性の優れたものを使っています。
浸透性が高いということは、インクの粒子が細かく消えやすい性質を持っているということです。
何年も経つとどんどん印影が薄くなるため、先ほど紹介した書類には使わないようにしましょう。
3つ目は、誰でも手に入れられることです。
基本的にシャチハタは、どこに行っても手に入れられますよね。
このような印鑑は規格が一緒になっているため、区別が必要な書類には向いていません。
シャチハタが使えない場面とその理由をしっかり理解しておいてください。
□押印・捺印を求められたときの注意点
これまでの人生で一度は「印鑑を持参してください」と言われたことがありますよね。
そのような場合では、どの印鑑を持っていくべきなのか迷った方が多いはずです。
では、どの印鑑を持参するのが正解なのでしょうか。
正解は、シャチハタ以外の印鑑を持っていくことです。
その理由としては、朱肉を使用する印鑑であれば、どの書類にも対応可能だからです。
押印や捺印を求められた場合は、普通の印鑑を用意しましょう。
しかし、朱肉を使用する印鑑であれば、何でも大丈夫というわけではありません。
押印を求められ、指定がない場合には、認印を使いましょう。
認印とは、届出をしていない個人の印鑑のことで、さまざまな書類に対応できます。
一方で、実印や銀行印などの公的に認められた印鑑は使用しないようにしましょう。
既に登録してある印鑑を使用すると、予期せぬトラブルが発生する可能性があるからです。
いざとなったら間違えてしまうのではと心配な方は、認印専用のハンコを用意すると良いでしょう。
押印・捺印を求められた場合には、認印を使用するべきであることを覚えておいてください。
□まとめ
この記事では、シャチハタと他の印鑑の違いについて解説しました。
印鑑には意外と知られていないルールがいくつか存在するため、今回説明した点に注意してください。
印鑑にはさまざまな種類があり、なかなか区別できませんよね。
印鑑やハンコに関して、より詳しい情報が知りたい方は、ぜひ当社にご連絡ください。