2018.2.10カテゴリー:印鑑について
皆さんは印鑑の良さは何で決まると思いますか?
きっとほとんどの人が、材質を挙げられるでしょう。
しかし、それは間違いです。
何故なのか気になりますよね。
その理由を一緒に見ていきましょう。
・印鑑は印面を写す物
印鑑の良さは、印面の書体で決まります。
印鑑は印面を写すからこそ意味があるのです。
どんなに良い材質の印鑑を持っていても、印面が汚れていては、その良さも消えてしまいます。
そのような事態にならないためにも、材質よりも印面にこだわってください。
では、早速、印鑑の印面に刻む文字の書体についてご紹介します。
目的や用途などを考えて、あなたに合わせた書体を見つけてください。
・吉相体(きっそうたい)
この書体は印相体とも呼ばれています。
文字と枠が接する部分が多く欠けにくいため、印面の耐久性が高く、人気のあるフォントの1つです。
吉相体は下の篆書体がベースとなっており、中心から外側へ向かって力強い流れの線があります。
その線が上下左右斜めの八方に広がっていることから、八方書体とも呼ばれているそうです。
易学や風水などの開運印相で良く用いられる書体でもあります。
この吉相体は、実印、銀行印のどちらにも使用できるでしょう。
可読性の低い篆書体が基礎となっているため、更に可読性が低くなっていますし、先程お伝えしたように、印面の耐久性に優れている書体です。
持っている人の防犯意識が問われる書体ともいえるでしょう。
印鑑をどのような書体にするか迷ったら、まずは吉相体から考えてみてはいかがでしょうか。
・篆書体(てんしょたい)
あまり聞き馴染みのない書体ですが、実は私たちの身近にあるのです。
皆さんの財布から、お札を一枚出してください。
そこに読めない印面が捺されていませんか?
実は、そこに使われている書体こそが篆書体なのです。
可読性が低く、偽造もしにくい書体であるため、個人、法人を問わずに実印の使用に適している書体です。
この篆書体の歴史を辿ると、紀元前にまで遡ります。
甲骨文字という漢字のもととなった文字から、金文、大篆、小篆と派生しました。
この中で篆書体と深い関わりがあるのは、小篆です。
小篆は秦の始皇帝によって作られた文字で、曲線が多く、縦に長いデザインが特徴とされています。
これを印鑑でも使えるように、曲線部分を整理したり、文字の形を整えたりして、現代の印鑑にも使われる印篆が生まれたのです。
最初から印鑑で作られることを前提に作られているため、バランスが整っていると感じる人も少なくないでしょう。
篆書体の印鑑を手にして、あなたの歴史を紡いでいきませんか。
・太枠篆書体(ふとわくてんしょたい)
この書体は名前の通り、枠が太くなった篆書体です。
強度を高めるだけでなく、デザイン面においても手が加えられています。
枠の太さに対して、文字は非常に細くなっています。
そのバランスの美しさをぜひご覧になってください。
この太枠篆書体は女性の人気が強く、女性の実印や銀行に使われることが多いです。
女性らしさを高められる数少ない書体でもあります。
印鑑からあなたの柔らかい印象を滲ませませんか。
・古印体(こいんたい)
古印体は日本語らしさが表された書体です。
雅な味わいの墨溜まり、文字の欠け途切れを見たら、書道を想像される人がほとんどでしょう。
この書体は日本漢字を基に進化した印章用の書体です。
可読性が非常に高く、馴染みのある書体となっています。
実印や銀行印よりも、認印に向いている書体と言えるでしょう。
・隷書体(れいしょたい)
これも聞き馴染みのない書体ですが、篆書体同様、私たちは毎日見ています。
隷書体は日本銀行が発行しているお札の文字に使われているのです。
具体的には、「日本銀行券」や「壱万円」などが挙げられます。
最近できた書体のようにも思えますが、実は、紀元前から続く歴史の古い書体です。
文字ごとで形状が異なる場合もあります。
可読性が高いため、認印に用いるのが望ましいのではないでしょうか。
実は、隷書体と篆書体には深いつながりがあるのです。
諸説ありますが、秦の始皇帝の時代にいた役人が、小篆のままだと仕事の効率が上がらないため、小篆を簡略して筆記のしやすさを向上させたのが、隷書体だと考えられています。
歴史の発展と共に、隷書体も変わってきて、行書体や楷書体の元になったこともあぁるそうです。
これを機に、書体についての知識を深めてみてはいかがでしょうか。
書体の歴史を知ることで、お気に入りの書体が見つかるかもしれませんよ。
今回は、印鑑の良さを決める書体についてご説明しました。
書体が開運や防犯に繋がるなんて想像していなかった人もいると思います。
ぜひ、デザイン性だけでなく、機能性にも着目してみてください。
書体によって人生が大きく変わることがあるかもしれませんよ。
できるだけ時間をかけて書体を決定するようにしてください。
納得のいく書体を見つけて、あなたの人生を支えてもらいませんか。