2024.7.15カテゴリー:印鑑について
「お辞儀ハンコ」という言葉、聞いたことはありますか。
会社で働く上で、社内ルールやマナーは避けて通れません。
特に、真面目な若手社員にとっては、周囲に迷惑をかけたくないという気持ちから、細かなマナーまで完璧に理解しておきたいと考える人も多いでしょう。
しかし、実際に仕事をしていく中で、疑問に思うことはたくさんあるはずです。
「お辞儀ハンコ」もその一つではないでしょうか。
「聞いたことはあるけど、実際にはどんな意味があって、どんな時に使うのか」「そもそも、今でも使うものなの」と、疑問を抱く人もいるかもしれません。
この記事では、そんな「お辞儀ハンコ」について、その意味や押す際の注意点を詳しく解説していきます。
社内でのコミュニケーションを円滑に進めるためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。
□印鑑は左に傾ける?お辞儀ハンコとは?
お辞儀ハンコとは、印鑑を斜めに傾けて押すことで、目上の方への敬意を表す慣習のことです。
しかし、お辞儀ハンコは、明確なルールやマナーとして定められているわけではありません。
一部の業界や企業でみられる文化であり、その起源や歴史は明確にはされていません。
1:お辞儀ハンコの起源
お辞儀ハンコの起源については、諸説ありますが、明確な証拠となる資料は存在しません。
しかし、一般的には、江戸時代の武士の礼儀作法から生まれたとする説が有力です。
武士は、刀を佩用していたため、相手に対して刀を向けずに敬意を表すために、頭を下げる代わりに刀を少し傾ける動作を行っていました。
この動作が、印鑑を傾けて押す「お辞儀ハンコ」の起源になったと考えられています。
2:お辞儀ハンコの広がり
お辞儀ハンコは、江戸時代以降、官僚組織や商社など、上下関係が厳格な組織で広まりました。
特に、戦後の高度経済成長期には、企業の組織規模が拡大し、社内文書のやり取りも増加したため、お辞儀ハンコは効率的なコミュニケーション手段として広く普及していったと考えられます。
3:現代のお辞儀ハンコ
現代においては、お辞儀ハンコは、一部の業界や企業でしか見られなくなりました。
特に、金融業界や官公庁など、伝統的な上下関係を重視する業界では、今でもお辞儀ハンコが使われています。
しかし、近年では、電子化が進み、ハンコそのものが使われなくなるケースも増えています。
お辞儀ハンコの文化は、時代の流れとともに変化していく可能性も否定できません。
□お辞儀ハンコが使われる主な業界
お辞儀ハンコが使われる主な業界としては、次の2つが挙げられます。
1:金融業界
銀行や証券会社などの金融業界では、伝統的に上下関係を重視する文化が根強く、お辞儀ハンコが広く使われています。
金融業界では、顧客の資産を預かるという性質上、信頼関係が非常に重要となります。
そのため、社内では、上下関係を明確にすることで、組織の安定と顧客への信頼を維持してきた歴史があります。
お辞儀ハンコは、目上の方への敬意を表すことで、この信頼関係を築き、維持するための手段の一つとして、長く受け継がれてきたと考えられます。
2:官公庁
官公庁においても、お辞儀ハンコは、古くから使われています。
官公庁は、国民に対して公正な行政サービスを提供する機関であり、その活動には高い倫理観と責任が求められます。
そのため、官公庁では、上下関係を明確にすることで、組織の規律と秩序を維持し、国民に対する信頼を確保してきました。
お辞儀ハンコは、この規律と秩序を維持するための手段の一つとして、長く受け継がれてきたと考えられます。
□お辞儀ハンコの注意点
お辞儀ハンコは、あくまでも一部の業界や企業でみられる慣習であり、一般的なマナーではありません。
そのため、お辞儀ハンコを使用する際には、いくつかの注意点を理解しておく必要があります。
ここでは、お辞儀ハンコに関する3つの注意点をご紹介します。
1:社内での慣習を確認する
まず、自分の所属する会社でお辞儀ハンコがマナーとして使われているかどうかを確認することが大切です。
上司や先輩に直接尋ねるのが一番確実ですが、社内文書やマニュアルに記載されている場合もあります。
社内ルールを理解せずに、お辞儀ハンコを使用してしまうと、周囲から誤解される可能性があります。
2:役職が下がるほど左に傾ける
お辞儀ハンコは、役職が下がるほど左に傾けて押印するのが一般的です。
しかし、傾ける角度は決まっておらず、5度程度が目安と言われています。
傾けすぎると、失礼な印象を与えてしまう可能性があるため、注意が必要です。
また、お辞儀ハンコの角度は、会社や部署によって異なる場合もあるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
3:社外での使用は避ける
お辞儀ハンコは、あくまでも社内での慣習であり、社外取引書類には使用しない方が良いでしょう。
取引先の担当者によっては、お辞儀ハンコを不快に感じる可能性もあります。
また、取引先との関係を良好に保つためには、一般的なマナーに従い、失礼のない対応をすることが大切です。
□お辞儀ハンコで失敗しない!ハンコの正しい押し方
お辞儀ハンコに限らず、ハンコを押す際には、いくつかの注意点とコツがあります。
押印に失敗して後から動揺しないように、正しい押し方をきちんと把握しておきましょう。
1:押印前の準備
押印前に、朱肉をつけすぎないことが重要です。
朱肉をつけすぎると、押印した際に滲んでしまい、印影が不鮮明になってしまいます。
また、印鑑の汚れも確認しておきましょう。
印鑑が汚れていると、印影が汚れてしまい、相手に失礼な印象を与えてしまう可能性があります。
2:押印時のポイント
押印時には、垂直に力を加えるのではなく、の字を描くように力を加えると、綺麗な印影になります。
また、力加減も重要です。
力任せに押すと、印影が歪んでしまうことがあります。
軽く押すことを意識し、印鑑全体が均等に朱肉で着色されるように注意しましょう。
3:押印後の処理
押印後には、印面に朱肉汚れが残っていないか確認しましょう。
朱肉汚れが残っていると、書類が汚れてしまうだけでなく、印影がぼやけてしまう可能性があります。
また、印鑑の保管にも注意が必要です。
印鑑を清潔な状態で保管することで、印影の美しさを保つことができます。
4:印面の大きさ
ハンコの大きさにも、一定のルールはありません。
しかし、一般的には、階層が上の方よりも大きい印面の印鑑を使うことは避けるべきです。
印面の大きさは、権力の大きさを表現すると考える人もいるため、相手に不快な印象を与えてしまう可能性があります。
□まとめ
この記事では、お辞儀ハンコの意味や押す際の注意点について解説しました。
お辞儀ハンコは、一部の業界や企業でみられる慣習であり、明確なルールやマナーとして定められているわけではありません。
そのため、お辞儀ハンコを使用する際には、社内での慣習を確認し、役職や相手への敬意を考慮することが重要です。
また、ハンコを押す際には、印影が綺麗にくっきりと出るように、丁寧に押すことが大切です。
朱肉をつけすぎたり、力任せに押したりしないように、注意しましょう。
お辞儀ハンコは、日本の伝統的な文化の一つです。
しかし、現代では、電子化が進み、ハンコそのものが使われなくなるケースも増えています。
お辞儀ハンコの文化が、今後どのように変化していくのか、注目していく必要があるでしょう。