2018.10.20カテゴリー:印鑑について
男性のライフイベントにおいて、実印は必須とも言えるアイテムです。 女性であれば名字が変わって実印を作り直す機会もありますが、男性にとって、実印は一生に一本と言っても過言ではありません。 そのため、実印をこれから持とうととお考えの方の中で、「実印作りは失敗したくない!」とお思いの方は多いはずです。 しかしいざ作ろうと思っても、何をどう気をつければ良いのかがわからないのではないでしょうか。 今回は、男性に向けた実印作りの重要ポイントを解説いたします。
□そもそも実印はいつ使うものか?
実印は車の売買や不動産取引、遺産相続などに使われる、印鑑の中で最も大きな法的効力を持つ印鑑です。 「自らの意思決定です」ということを示すため、大切に保管することはもちろん、悪用されないように防犯面も考慮してデザインすることが大切です。 そのため、大量生産された既製品を自分の実印として登録するのは避けてください。 「車を買う時に印鑑証明が必要と言われた!」 など、その時になって焦って適当に作ることがないように、今から用意しておくのが良いのではないでしょうか。 ライフプランを想定して、いつ使うのかを早めに見定めておきましょう。
□実印のサイズは?
細かいルールは市町村ごとに違うため、住民票がある役所できちんと確認する必要性があります。 しかし、多くの市町村では8mmから25mm以内のものと定められており、その範囲内であれば登録できないということはありません。 しかしながら、実印はその人の立場を表すもので、男女や自分の社会的な地位によって見合ったサイズがあります。 一般的に男性の実印は女性よりも大きめのサイズで、16.5mmから18mmのサイズがおすすめです。 これは、手の大きな男性の手にぴったりとフィットするサイズです。 また、このサイズであれば各市町村の規定のサイズを超えてしまう心配はありません。 そしてパートナーがいる・またはできる予定がある男性も相手よりも小さくなることはないと思われます。 「別にパートナーより大きくなくても大丈夫じゃないか?」と思われた方もいるかもしれません。 しかし夫婦間で実印の大きさを変えることによって家庭内でどちらの実印かが見分けやすくなります。 また、「後家相」と呼ばれる慣習があり、女性が男性よりも大きい実印を持つと女性の運が男性の運を圧倒してしまい夫婦に災いが訪れると言われています。 あくまでもこれは言い伝えなので知識として知っておく程度で良いかもしれません。 「50代になったことだし、堂々としたサイズにしよう」 「縁起を担いで大きめのサイズで」 などと自分の好みのサイズを見つけてみましょう。
□女性の実印は男性の実印よりも小さく作るの?
一般的には、女性の実印は男性の実印よりも小さく作るものとされています。
これは、昔の習わしや機能性の面などを理由としており、より詳細には以下の3つに由来します。
1つ目は、「後家相」です。
直前の見出しでも少し触れたことですが、ここではより詳細にご紹介します。
「後家相」においては、女性の運が男性の運よりも強過ぎることは、災いをもたらすとされています。
元々そういった意味合いだったものが、実印の大きさに対しても、「実印の大きさが運の大きさである」とのように適用されました。
それにより、男性が女性よりも小さい実印であると、夫婦間に良くないことが起きてしまうと解釈されるようになったのです。
また、ここでいう良くないことの1つとして、離婚してしまうことが挙げられます。
2つ目は、昔の家庭における男女関係です。
ここにおいて、昔の家庭の形、つまり家父長制の考え方が参照されています。
「女は男の3歩下がって歩くべし」といった言葉に対する一般的な解釈が、家父長制の考え方を象徴しているといえます。
男性の方を一家の中心に据え、女性は男性に従属するといった、今となっては時代遅れの考え方が由来の1つとなっているのです。
3つ目は、女性の手が男性の手より小さい傾向があることです。
多くの場合、男性の手よりも女性の手の方が小さいため、持ちやすさの点から自然に印鑑の大きさも小さくなったのです。
このように、純粋な使いやすさを重視することによっても、今の形に落ち着いています。
ただ、大きい方が持ちやすいと感じる方もいらっしゃるので、そういった方は、大きい方を選んでも何の問題もありません。
1つ目と2つ目の由来については、前時代的な考え方に支配されているとも捉えられます。
そのため、機能面で支障をきたさなければ、男性よりも大きな実印を選択することを躊躇う必要はありません。
□なぜ印鑑はサイズがそれぞれ違うの?
印鑑のサイズが全部揃っていれば、印鑑の製造がより簡単になるので、これは良い考えに思われます。
しかし、実際には印鑑のサイズはバラバラで、サイズは統一の大きさとはなっていません。
果たして、なぜ印鑑のサイズは様々に異なるのでしょうか。
この問いに対しては、実用性の観点から答えられます。
ここで、印鑑が全て同じサイズだと想像してください。
印鑑には、実印や銀行印など複数の種類があります。
それらのサイズが同じだと、一見全て同じように見えます。
加えて字体も同じであれば、じっくり確かめないと判断できず、とても不便です。
こうした点を踏まえると、印鑑が全て同じサイズではない理由がはっきりとしてきます。
役割が異なる印鑑によってサイズを変えることで、たとえ字体が同じでも、どの印鑑か分かりやすくなります。
それによって、より快適に印鑑を使えるようになるのです。
また、「重要度が高いものほど、サイズを大きくする」といったような工夫を加えられることもポイントです。
基本的には、「実印を最も大きく、銀行印は2番目に大きく、認印はそれらよりも小さくする」といった点を押さえると良いでしょう。
また、既に結婚されている方や、結婚する予定のある方は、パートナーと印鑑の大きさが揃わないように注意することをおすすめします。
この場合も、自分とパートナーの印鑑の判別が付きやすく、印鑑を押した後の書類上でも見分けがつきやすいのです。
男性と女性、どちらの印鑑の方が大きいかを、過度に気にする必要はありません。
既に持っている印鑑のサイズや、実際に使う際の利便性について考えながら、選択することをおすすめします。
もちろん、「後家相」のような習わしに従うこともまた、選択肢の1つと考えられるのです。
□書体
書体は誰でも模倣できるものにしてしまうと、悪用されてしまう可能性が高くなるため、できるだけ注意して選ぶ必要があります。 例えば、習字を習っていた方ならわかると思いますが、現代私たちが使っている楷書体やそれを少し崩した行書体は偽造されやすいので、実印におすすめはできません。 また、防犯面以外の点からいうと、男性の方はフルネームを彫刻することが多いため全体のバランスも考慮して選びましょう。 「そうは言われてもどの書体がいいかわからない」という方には、篆書体と印相体をおすすめします。 次に、それぞれの特徴を簡単にご紹介します。 ・篆書体 楷書や行書とは違い、一見して篆書体は書いてある漢字が分かりにくい書体です。 そのため実印に適しており、お札に使われているハンコをはじめとして、現在でも広く使われています。 ・印相体 印相体も篆書体と同じく読みにくいため、偽造されて悪用される可能性が低いと言えます。 またしっかりとした重厚感があり、みた人に男らしい印象を与えられます。 それに加えて印相体は他の事態に比べて文字が欠けにくく、一つの実印を長く持ちたい方にぴったりです。 印面の文字が欠けてしまうと、新しい実印を作り、再登録してそれまで使っていた印鑑を破棄しなければなりません。
□縦書きと横書きはどちらが良いの?
「どちらでも書いてあることは一緒でしょ?」と思うかもしれませんが、それぞれの書き方に意味があります。
縦書きは繁栄や成長を表し、横書きは安定を表します。
そのため、昔から一家の長である男性は縦書き、家庭を守る女性は横書きの実印を作ることが一般的です。
しかし、男女で家庭の役割が決まっていたのは昔のことですし、現代では男女ともに家庭を支えていると考える方も多くおられます。
男性だから縦、女性だから横書きと決めるのではなく、それぞれの書き方に込められた意味や、お名前とのバランスを理解して、お好きな書き方を選びましょう。
以上、参考になりましたでしょうか。
・実印は最も大事な印鑑
・男性は篆書体と印相体がおすすめ
・縦書きは「繁栄」横書きは「安定」を表す
これらの3点が、男性が実印を作る際の主要なポイントでした。
印鑑は伝統的なアイテムなので、知っておくべき情報がたくさんあります。
実印作りに失敗しないようにたくさんの知識をつけてから、世界にひとつだけの実印作りに臨みましょう。