2022.3.30カテゴリー:印鑑について
「実印と三文判の違いについて知りたい」
このようにお考えの方はいらっしゃいますか。
三文判は手に入れやすい印鑑ですが、気をつけておきたいことも存在します。
実印をつくる際は、三文判の特徴についても知っておくと安心です。
そこで今回は、実印と三文判の違いや三文判を実印として使う危険性を中心にご紹介します。
□ 実印と三文判の違いとは?
*実印について
市区町村で印鑑登録を行った印鑑を実印と呼びます。
法律上、社会上の権利と義務の発生に伴い、法的な効力を発揮します。
印鑑登録をすると、市区町村の役所から印鑑証明書が発行され、その印影が確かに本人の実印であることを証明してくれます。
実印は、取引や契約などで大切な役割を担う印鑑であり、その人自身とその人の意志を証明します。
例えば、不動産を購入したり、自動車の売買取引をしたり、公正証書の作成をしたりするような、社会的信用と証明が必要な場面で使われます。
そのため、実印は個人印、法人印の中で最も重要とされています。
*三文判について
三文判とは、大量生産してつくられた手頃な価格の印鑑のことです。
印鑑専門店以外のホームセンターのような場所でも、手頃な価格で簡単に入手可能です。
一般的には、黒ラクトや白ラクトなどが三文判として知られています。
ラクトとは、非常に軽く、低価格で加工しやすいプラスチック素材です。
黒ラクトは、艶があって黒水牛に似た見た目をもつプラスチック製のハンコです。
白ラクトは、三文判として最も多く見られる白色のプラスチック製のハンコです。
どちらの見た目についても、高級な印鑑の素材として使われる黒水牛や象牙によく似ています。
三文判の三文とは江戸時代に使われていたお金を指し、「文」はかつてお金の単位だったそうです。
金一両は四千文といわれており、三文はとても少ない金額であったと予想できます。
そこで、三文という言葉自体に安い価格のもの、価値の低いものといった意味が含まれるようになったと考えられています。
他に三文が付く有名な言葉として、三文芝居や三文小説などがありますが、いずれにおいても三文は価値が低いものの意味として使用されています。
□ 三文判でも実印として印鑑登録ができるかどうかについて
実印の規定においては、印鑑のサイズが8ミリメートル以上25ミリメートル以内の正方形に収まるものであり、住民票に登録された名前と同じであることとされています。
つまり、この規定を満たしていれば、三文判であっても実印として登録可能ということになります。
しかし、実印として三文判が印鑑登録可能かどうかは自治体ごとの規定によって異なるため、実印としては機能しないこともあるのです。
また、実印の登録は1人1本までであることを忘れてはいけません。
既に他の人の印鑑として同じ印影の印鑑が登録されていれば、自分の印鑑は登録できません。
三文判は同じ印影になる可能性が高いと考えられるため、実印として登録できないことがほとんどです。
もし三文判を実印として登録できたとしても、危険であることは間違いありません。
そのため、三文判を印鑑として使用するのは短期間にとどめ、できるだけ早く別の印鑑を新しくつくって改印手続きをしましょう。
手彫り印鑑のような独自性が高い印鑑を実印とするのがおすすめです。
□ 三文判を実印として使う危険性とは?
三文判は販売されているお店が多く、手軽に入手できます。
印鑑が手元にない状態で急に印鑑が必要になった場合も、すぐに購入できるので便利ですよね。
しかし、安い値段で身近に販売されている三文判を実印として用いることは、とても危険です。
ここでは、三文判を実印として使ううえで考えられる危険性について2つご紹介します。
1つ目は、偽造されやすいことです。
簡単に手に入る三文判は、機械で大量に生産されたものなので、全く同じ印鑑を所持する人が自分以外にも多く存在する状態となります。
このような三文判でも役所で印鑑登録できれば実印になり、銀行に届け出を提出すれば銀行印にもなってしまうのです。
三文判を実印として登録すれば、実印の複製や偽造が容易く行われてしまうリスクが高まります。
大切な実印がなりすましの被害にあうのは何としてでも避けたいですよね。
そのため、実印を所持しようとお考えの際は、印鑑専門店でオリジナルのものを注文することをおすすめします。
2つ目は、変形しやすく、必要な時に使えない可能性があることです。
三文判は、主にアクリルやラクトのような合成材からつくられています。
プラスチックであるアクリル材やラクト材は加熱すると柔らかくなる性質があります。
加工が簡単であるため、工業製品の材料としてよく使われます。
しかし、加工しやすいということは、悪くいえば変形しやすいということになり、耐久性の面で問題があるといえます。
印面が一度変形してしまえば、元の形に戻ることはありません。
実印は登録した印影と照合しなければならないため、印面が変形してしまうと効力がなくなってしまいます。
したがって、このような変形しやすい素材を使った印鑑には十分注意してください。
□ 実印におすすめできる安くて品質の良い素材とは?
ここでは、実印の素材として適している安くて品質の良い素材を3つご紹介します。
1つ目は、柘です。
柘は古くから使われてきた木の素材です。
植物の温かみを感じたい方は、ぜひ実印の素材として取り入れてみてはいかがでしょうか。
柘は手頃な価格であるにもかかわらず、手触りが良く、使い勝手が良いとされています。
しかし、柘は木の素材であるため、気温、乾燥、湿気の変化には弱いので、注意してください。
実印は部分的に少し欠けてしまっただけでも使用できなくなることがあります。
そのため、柘を使った実印をもつ場合は保管する場所に気をつけ、常に丁寧に扱うことを心がけましょう。
ちなみに、柘には薩摩本柘という高級品もあります。
その中でも鹿児島県産の薩摩本柘は品質がとても良く、高級な実印をつくりたい方におすすめです。
2つ目は、玄武です。
黒彩樺とも呼ばれており、近年注目されている印鑑の新素材です。
寒冷地でつくられたバーチ材とフェノールレジンを結合させた後、高圧で加熱することによりつくり出されます。
単純に木を加工することに比べて数倍の強度があり、耐久性に優れた素材といえます。
そのため、他の素材よりも安心感が強いため、実印をつくるうえで価格は安く抑えたいが、耐久性にはこだわりたいという方にはぴったりの素材です。
また、玄武は環境に優しい素材であるため、エコに対して関心のある方にもおすすめです。
3つ目は、黒水牛です。
黒水牛は水牛の角を加工してつくられます。
実印の素材として使われることが多く、包丁の柄やボタンとしても使われます。
品質の良いものを選ぶと値段は高くなっていきますが、動物系の印材の中では手頃な価格といえます。
黒水牛は1本の角から少ししか手に入れられない貴重な素材であるため、他の人とは異なる雰囲気のある実印を持ちたい方にもおすすめです。
□まとめ
本記事では、実印と三文判の違いや三文判を実印として使う危険性を中心に解説しました。
実印として使う印鑑を選ぶうえでいくつか注意するべき点が存在します。
安全面に考慮して、オリジナリティの高い印鑑をつくってくださいね。
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