2018.10.5カテゴリー:印鑑について
「苗字だけ入れるのが正解なの?」
実印を作る際にこのように悩むことがあるかもしれません。
なんと印鑑は紀元前メソポタミアの時代から存在しており、シルクロードに乗ってアジアにその文化が伝わりました。
日本で印鑑の役割が明確化されたのは明治初期、およそ150年前です。
そのため実印には当時の名残があり、男女や立場によってデザインや作り方が異なります。
今回は実印の作り方を書体や名前の入れ方に注目して、実印作りについて解説していきます。
□そもそも実印はいつ使うのか?
皆さんはどのような時にハンコを使いますか?
宅配便を受け取る時に玄関で使うもの、そんなイメージがあるかもしれません。
しかし、実はあれは実印ではありません。
実印は印鑑の中でも最も法的効力がある印鑑で、「私が自分の意思で決定しました」という証明にをするものです。
そんなに重大な意思決定を日常的にする人は少ないはずなので、滅多に使われることがありません。
例えば、遺産相続、車の売買、保険金を受け取る時、そして起業するときなど重要なライフイベントに際して使うのが実印です。
実印は、15歳から作ることができるので、高校や大学の進学祝い、就職祝いなどでお子様へプレゼントされるのも良いかもしれませんね。
実印は非常に重要な印鑑なので、市販の大量販売の印鑑を使わずに、きちんと注文したものにするのがおすすめです。
また作った後は、偽造や盗難にあわないようにパスポートや通帳などと同様に大切に保管してください。
□実印の書体について
「書体ってそんなに大事なの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、書体は防犯面と、相手に与える印象面において効果があります。
一般的に私たちがよく目にするのは楷書体です。
しかし楷書体や少しそれを崩した行書体で実印を作ってしまうのは危険です。
なぜなら、それらの書体は読みやすく偽造されてしまう可能性があるからです。
また、書体によって見た人に与える印象も違うので、こだわってみても良いのではないでしょうか。
男性と女性とでおすすめは異なりますので、それぞれをご紹介します。
・男性
男性には「篆書体」「印相体」がおすすめです。
篆書体は、私たちが普段から使っているお札にも使われている書体です。
なんと書いているのか分かりにくい書き方なので、防犯効果もあります。
もう一つのおすすめである印相体は、縁起の良い書体であると言われています。
八方向に文字が伸びており、大きく広がっていく繁栄のイメージが湧きますよね。
・女性
女性の場合は「細篆書体」がおすすめです。
細篆書体は篆書体の線を細くしたもので、篆書体と比べるとすらりとしたおしとやかな印象を与えることができます。
この書体は、別名「太枠篆書体」とも呼ばれていて、枠が太いため文字が欠けにくいのが特徴です。
長く持つ実印を作りたい方は、欠けにくい書体を選ぶことも重要です。
一度文字が欠けてしまうと、もう一度印鑑を作り直して再登録し、それまでに使っていた印を破棄しなければなりません。
自分にあった書体を選んでみてはどうでしょうか。
□氏名の入れ方
「女性は名前だけで、男性はフルネームがおすすめ」ということをご存知の方もいらっしゃるでしょう。
しかし、これは決まりではなく、名前だけにするメリットとフルネームで作るメリットをご紹介します。
・女性が名前だけにするメリット
1. 苗字が変わっても大丈夫
当たり前ですが女性は結婚や離婚で苗字が変わることがあります。
作り直すとなると、別の印鑑を作成・再登録・前の実印の破棄といった面倒が生じるため、最初から名前だけで作っておく方が多いです。
2. 「後家相」を避ける
フルネームの実印は一家の長が持つものとされていたので、女性は下の名前のみの実印を持つのが普通でした。
そのため、女性がフルネームの実印を持つと、家庭内の男性と衝突し、家庭に良くない災いが訪れる、いわゆる「後家相」が現れると言われています。
・男女ともにフルネームにするメリット
1. 偽造されにくい
苗字よりも画数が多くなり、そのぶん複雑な印面になるため、偽装されて悪用される可能性が低くなるでしょう。
2. 男女平等社会への適応
上記で後家相のことについて話ししましたが、今となっては、男女平等を意識される方が増え、女性の方でもお好みでフルネームを入れても問題は無いと言えます。
会社を持たれる方は特にフルネームでの実印が必要となるでしょう。
女性だから名前だけ、男性だからフルネーム、と決めてしまわずに、それぞれのメリットを理解して、自分の立場や考え方が反映されている名入れをしましょう。
以上、実印作りにおける、おすすめの書体や氏名の入れ方についてご紹介しました。
手に収まる小さなアイテムですが、持ち主の性別や立場・考え方が一本に反映されていることがお分りいただけたかと思います。
実印の相場は1万円ぐらいです。
せっかく作るのであれば、よく考えて、こだわりの一本を作ってみてはいかがでしょうか。