2017.8.5カテゴリー:印鑑について
皆さんは印鑑をどのように使ったことがありますか?
ほとんどの人が認印や重要な契約などでしか、使ったことが無いと思います。
確かにそれがほとんどの使い方ですが、それ以外でも使えることをご存知でしょうか。
皆さんの小学校の頃を思い出してください。
きっと誰もが一度は図書室を利用したことがあるでしょう。
図書館にある本には、印鑑が捺されていませんでしたか?
その印は、「蔵書印」と呼ばれています。
本の所有権を明らかにするために、そのような印を捺されるのです。
そうすることで、盗難や紛失を防ぐことができます。
誰かの印が入ったモノを盗ろうとする人なんていませんよね。
改めて、印があることの重要性を認識できたと思います。
本との出会いは一生の宝物です。
そんな宝物をさらに特別なものにするため、蔵書印は重要な役割を果たします。
この独自の印は、単に所有を示す以上の、所有者の個性や情熱を映し出します。
この記事では、蔵書印の魅力とその豊かな歴史、そして自分だけの蔵書印を作る方法をご紹介します。
□蔵書印は、個人でも扱える
「蔵書印」と聞くと、どうしても公共の書物に使われることを想像してしまいますが、個人の蔵書に用いられることもあるのです。
読書が好きな方や本のコレクションが好きな人には、たまらないですよね。
自分の愛読書にその証を刻めたり、本の所有権を明確にできたりするなど、所有欲が重視されます。
もしかしたら、一層本にかける情熱が高まってしまうかもしれませんね。
今回は、その蔵書印についてお伝えします。 蔵書印で、貴方の愛を本に印しましょう!!
*蔵書印に刻む文字について
蔵書印に使われるのは、「所有者の名前+蔵書」という形がほとんどです。
「蔵書」の他にも、「図書」、「文庫」、「愛書」などで用いられることもあります。
自分の名前が捺された本に囲まれるなんて、本が好きな人にとって、これ以上の幸せはないでしょう。
自分だけの蔵書棚を作ってしまいましょう!!
*蔵書印の色について
蔵書印は、基本的に朱で捺します。
白黒の書物に朱を捺すことで、蔵書印を目立たせられます。
その上、朱は他の色比べて、変色する恐れがほとんどありません。
見た目にも、機能的にも優れている朱で、綺麗に捺しましょう!!
*蔵書印の形について
正方形の蔵書印が多いですが、決まりがあるわけではありません。
つまり、自分で好きな形にすることができるのです。
女性であれば丸い形にして、可愛らしい蔵書印にすることもオススメします。
あえて正方形にして、格好良く決めるのも一つの方法です。
印影の形だけではなく、印鑑の形にもこだわって最高の蔵書印を作りませんか?
*蔵書印の材料について
個人的に蔵書印を楽しまれている方の中には、木材や石などで作られている人もいらっしゃいます。
中には、消しゴムで手軽に作ってしまう人も居るそうです。
一から自分で作るのも、一つの楽しみ方です。
しかし、せっかく作るのですから、他の印鑑と同じような材質にして、長い間愛用したいですよね。
そうすることで、捺す楽しみも膨れるでしょう。
材料にもこだわって、最高の印鑑に仕上げましょう!!
*蔵書印におすすめの書体とは?
1つ目は篆書体(てんしょたい)です。
篆書体は身近にある書体の一つで、実は、日本銀行が発行しているお札に捺されている印鑑の書体です。
日本最古の印鑑と言われている国宝の「漢委奴国王(かんのわのなのこくおういん)の金印も篆書体で作られているのです。
篆書体にはさまざまな種類があり、印鑑で使用されている篆書体は「印篆(いんてん)」と呼ばれています。
篆書体は印章用書体の中でも歴史がある文字で、現代文字とは形状が異なっている場合もあります。
その形状から可読性が低く、偽造しにくい書体であるため、個人、法人用共に実印におすすめの書体です。
また、篆書体は線が太いため、硬質な印材を使用しても綺麗に押印できます。
丁寧に扱えば一生持つほどです。
メンテナンスも簡単な書体であるため、おすすめの書体です。
2つ目は古印体(こいんたい)です。
古印体は、もともと奈良時代の自社で使用されていた印鑑の書体です。
当時の印鑑は現在のように精密な文字を作成できなかったため線画均一ではなく、波打った太さの字体でした。
これをアレンジし、線が太く丸みのある事態にしたのが現在の古印体です。
古印体は雅な味わいの墨溜りや欠け途切れに特徴があります。
日本の漢字を基に進化した印章用の書体で、可読性が高く多くの方にとって馴染みのある書体となっているのです。
また、余白部分が少ない仕上がりになっているため、印鑑に衝撃があったとしても欠けにくいのです。
さらに、枠に接している部分もあるため枠の強度がやや強くなります。
枠は印鑑の中で最も破損しやすい部分であるため一つのメリットと言えるでしょう。
また、太い線で文字が構成されているため、押印する際にも綺麗に印影が出やすい書体と言えるでしょう。
一方で、掘り方によっては隙間に埃がつまりやすい書体でもあるため、印鑑を使用する際にはこまめに汚れを取り除きましょう。
使用する印材はある程度、強度や粘りがあるものを選ぶと良いでしょう。
古印体特有の優美なフォルムを再現するために、朱肉のつきがよく、しっかりと紙に馴染む素材の方がより鮮明になります。
3つ目は印相体(いんそうたい)です。
印相体は吉相体(きっそうたい)や八方篆書体(はっぽうてんしょたい)と呼ばれることもあります。
印相体は文字の線が四方八方に広がり、文字と印鑑の枠が接する部分が多くなっていることが特徴です。
篆書体を基にしておりひらがなやカタカナも自由に表現できることがメリットの一つです。
また、印相体は印鑑の枠に文字が接しているため枠が欠けにくいという特徴があります。
実印は一度作成すると、作り直す可能性は低いため、長持ちする丈夫なものを選ぶことがポイントです。
丈夫な実印となると素材選びが重要になりますが、印相体は、枠に接していない細い書体よりも耐久性が高いのです。
さらに、印相体は他の書体と比べて可読性が低いため偽造が難しいという特徴があります。
先ほどご紹介した篆書体よりも書体が複雑です。
実印は、法的効力を添えて押印するものであるため、できるだけ偽造されにくいものを選びましょう。
その点においては、可読性は低いものの偽造されにくい印相体は実印に適していると言えるでしょう。
また、印相体の実印を手彫りで作成することによって、作成する職人の個性が反映されるためより偽造されにくい実印ができあがるでしょう。
*蔵書印のデザインについて
蔵書印はオリジナルオーダーが可能です。
印文も店舗によっては、文字だけでなく絵柄を掘りこめる場合もあります。
読書が好きな方は自分の本に押印するために蔵書印を作る場合や、飲食店に置く本に押す蔵書印を作ることもあるでしょう。
その際は、自分好みやお店の雰囲気に合わせた可愛いデザインの蔵書印を作れます。
□蔵書印の楽しみ方
一つ目は、デザインについてです。
蔵書印で最も重要なのが、そのデザインです。
デザインを見るだけで、作った人の個性、本の愛し方、こだわりなどが現れています。
ぜひ、公共の書物に印された蔵書印を比べてみてください。
同じように見えても、文字の大きさやフォントの違いなどを感じ取れます。
きっと、その本が納められている所の特徴が表れていることでしょう。
このように、デザインが違うと受ける印象も大きく変わってしまいます。
自分が納得するまで考え続けて、最高のデザインに仕上げましょう!!
2つ目は、歴史についてです。
皆さんは古書店などに足を運ばれますか?
古書店には時々、蔵書印が捺された本が置かれていることがあります。
それを見た時に、不思議な温かみを感じることがあるかもしれません。
「何処の誰が所有していた本かはわからないけれど、何かの縁でここにある」 まるで物語みたいですよね。
蔵書印を押すことで、自分もその物語の一端を担えることがあるかもしれません。
本の歴史を伝える大切な役目を、始めてみませんか?
3つ目は、コレクションです。
他の人の蔵書印と比べてみましょう。
どういう意図で蔵書印を押しているのかを知ることで、相手への理解が深まります。
その上、自分の蔵書印に対するこだわりも強まることでしょう。
趣味の世界に正解はありません。
存在するのは、無限の可能性です。 自分に合った選択肢を選べるように、世界を広げていきましょう!!
□蔵書印の魅力とその歴史
蔵書印、それは本への愛と個人の趣味を表す独特のしるしです。
この印は単なる所有標記以上の意味を持ち、所有者の個性や愛情を示す美的な表現でもあります。
*蔵書印の基本的な役割
蔵書印は、本のページにそっと押され、その本が誰のものであるかを示します。
図書館の本に見られる「〇〇図書館」の印も蔵書印の一例です。
これは紛失や盗難防止に貢献すると同時に、本の所有者や所蔵者のアイデンティティを表現する方法でもあります。
個人の蔵書印は、図書館のそれとは異なり、個人の趣味やセンスが反映されたデザインとなることが多いです。
*蔵書印と個人のコレクション
個人が蔵書印を使用する場合、それは自分のお気に入りの本やコレクションへの愛情を示す手段として使われます。
自分だけの特別な印を押すことで、本への愛着がさらに深まるでしょう。
これは、本を所蔵する喜びをさらに高めるものであり、所有者独自の「しるし」としての役割を果たします。
*落款印と蔵書印の違い
落款印も蔵書印も、文字を彫刻する篆刻(てんこく)で作られますが、その使われ方には大きな違いがあります。
落款印は作品に作者を示すために使われるのに対し、蔵書印は本の所有者を明らかにするためのものです。
これは、蔵書印が個人の所有権とアイデンティティを示すツールとして機能していることを示しています。
*蔵書印の歴史的背景
蔵書印は古くから使われており、情報源が限られていた時代、情報の散逸を防ぐために使用されてきました。
中国が起源であり、日本では天平時代(奈良時代)に使われていたと考えられているものが最古の例です。
当初は寺社や貴族に限られていましたが、江戸時代になると出版物の増加と共に、庶民の間でも読書が広まり、個人が蔵書印を用いる文化が根付きました。
この文化は東洋特有のもので、西洋では蔵書票が同様の役割を果たしていました。
蔵書印は、単なる所有のしるし以上の意味を持つ文化的アイテムです。
それは所有者の個性や情熱を映し出し、本との特別な関係を示す象徴となっています。
長い歴史を持つ蔵書印は、本好きならではの趣味として、今日も多くの人に愛され続けています。
□自分だけの蔵書印を作る方法
蔵書印は、あなたの本に個性を加える素敵なアクセントです。
読書好きなら、自分だけの蔵書印を持つのは夢のようなことでしょう。
ここでは、オリジナルの蔵書印を作成する方法と、その際の注意点を紹介します。
1:蔵書印のデザインを決定する
まず、蔵書印のデザインを決めましょう。
シンプルな文字だけのデザインから、独創的なイラストやロゴを取り入れたものまで、選択肢は無限大です。
自分の趣味や性格を表現するデザインを考えるのが楽しいですね。
・愛読書のジャンルや趣味に関連するモチーフを考える
・シンプルかつ読みやすい書体を選ぶ
・本のサイズに合わせて印面の大きさを考慮する
といった方法で蔵書印のデザインを考えましょう。
2:材質と印章店の選定
蔵書印の材質は、木製や石製、プラスチック製など多種多様です。
耐久性や見た目、手触りなど、自分の好みに合わせて選びましょう。
耐久性と美しさを考慮して材質を選ぶことでより愛着が湧く蔵書印になるでしょう。
また、印章店の選定も重要です。
オーダーメイドに対応している印章店を選んで、細部にわたる要望を伝えてみてください。
このとき、できるだけ実際に店舗に足を運び、サンプルを確認することがおすすめです。
3:蔵書印の使い方と管理
作成した蔵書印を使う際は、インクの種類や押印の位置に注意しましょう。
また、長く使うためには、適切な保管方法が必要です。
特に、インクが乾かないように保管することが重要です。
朱肉や速乾性インクといったインクの種類を選ぶこともできるので、必要に応じてこのようなインクを選びましょう。
清潔な状態で保管し、定期的にメンテナンスを行うことも重要です。
蔵書印を作ることは、読書の楽しみをさらに深められる素敵な体験です。
ぜひ自分だけのオリジナル蔵書印を作って、読書の時間をより豊かなものにしましょう。
□まとめ
蔵書印は、本への愛情と個性を表現する素晴らしい手段です。
基本的な役割から始まり、個人コレクションの象徴、落款印との違い、そしてその歴史的背景まで、蔵書印は多面的な魅力を持っています。
また、自分だけの蔵書印を作る楽しみは、読書体験をさらに豊かなものにします。
デザインの決定、材質と印章店の選定、使い方と管理の重要性を知ることで、蔵書印は単なる印ではなく、あなたの読書生活の一部となるでしょう。