2019.5.5カテゴリー:印鑑について
「英語が入った印鑑って作れるの?」
このようなギモンをお持ちではありませんか?
企業名に英語が入っている、海外から来た友人に印鑑をプレゼントしたい、海外から来てしばらく日本で暮らすため印鑑が必要、というように、英語で書かれた印鑑が必要な理由はいくつかあります。
しかし、印鑑は漢字しか使われていないイメージがあるため、英語で書かれた印鑑を作るのに不安を感じてしまうかもしれません。
しかし、たとえ英語が入っていても印鑑を作ることはできます。
そこで今回は、英語で書かれた印鑑を作成する際のポイントや留意点をご紹介します。
□印影とは?印章や印鑑との違い
日本における印鑑の使用は、ビジネスや日常生活において欠かせない要素となっています。
しかし、「印章」「印影」「印鑑」という用語にはそれぞれ異なる意味があり、その違いを理解することは印鑑文化を深く知る上で重要です。
1:印章
印章は、具体的にはハンコ本体のことを指します。
材質は木製、チタン、牛のツノなど多岐にわたり、日本では印鑑とも呼ばれますが、正確には印章のことを指すことが多いです。
ビジネスシーンでは、契約書に捺印する際に使用され、その形状や材質によって、個人や企業の品格を象徴するアイテムとなっています。
2:印影
印影は、印章を朱肉につけて紙に押した際に残る印のことを指します。
この印影が、契約書や公的書類において、署名と同等の法的効力を持ちます。
特に、ビジネスでの重要文書においては、この印影がその文書の正式性を保証する重要な役割を果たします。
3:印鑑
印鑑は、印章や印影の全体を指すことが多いですが、特に銀行印や実印として登録された印影のことを指すこともあります。
このような印鑑は、その人の社会的な身分や権利を証明するために用いられ、非常に高い信頼性が求められます。
以上のように、印章・印影・印鑑にはそれぞれ異なる意味があり、日本の印鑑文化において重要な役割を果たしています。
これらの違いを理解することで、日本の印鑑文化の奥深さをより深く知れるでしょう。
□1. 外国人が英語で印鑑を作成したいとき
日本に長く住む際、自分の印鑑を持っていなければ生活を送るのが困難になるほど、印鑑を使う機会がたくさんあります。
そのため、自分の印鑑を作成し、市役所などで登録を行うことが必須です。
印鑑登録までの流れは日本人と同じで、登録したい自分の印鑑を役所に持って行き、手続きを済ませると完了しますが、作成にはいくつか注意が必要です。
*外国人が印鑑登録をする際の留意点
英語の印鑑作成には注意するべき点がいくつかあります。
1つ目は、実印の名前は、住民基本台帳か外国人登録原票に書かれてあるものしか使用できないというものです。
これは名前が英語の方にとっては問題ありませんが、名前が英語ではない方は英語の印鑑を作成できても登録の許可は下りないため、使用できなくなってしまいます。
例えば、田中さんが「Tanaka」と書かれた印鑑を作っても、それを公式に使うことはできません。
しかし、これは逆に言うと台帳か原票に書かれてある名前の印鑑は登録ができるということなので、外国人の方は英語名だけでなくカタカナ名も台帳に登録しておくことで、2つどちらの印鑑を使うかを選択できます。
英語表記の印鑑では手続きがスムーズに進まないことがあるかもしれないため、不安を感じる方はカタカナの印鑑を作成しても良いかもしれません。
2つ目の留意点は、印鑑登録できる印鑑にはサイズが決められているというものです。
印鑑は、印影の1辺が8mmより大きく25mm以下の正方形に収まる大きさでないと登録ができません。
これはつまり、文字数が多い傾向がある英語の名前では、このサイズに収まりきらない可能性があり、せっかく作成しても使えないことがあるということです。
ただし、フルネームではなくとも「名のみ」、「姓のみ」、「名+イニシャル」の印鑑でも認められています。
例えば、名前が「Robert Anderson」の際は、「Robert」「Anderson」「Robert A.」の3種類が可能です
フルネームが長い際はこちらを使うのがおすすめです。
□2. 企業名に英語が含まれているとき
英語が入った企業の印鑑の作成は可能です。
2002年より前では英語が書かれてある商号が禁止されていたため、実印に英語を使うことが避けられていましたが、以降は商号に英語を含めることが可能になりました。
そのため、今では商号、会社名、印鑑を英語で統一することができます。
また、法人の印鑑の内容に決まりは特にないため、「株式会社」を「Inc.」と短く表記することもできますし、企業名や商号に英語が含まれていなくても、英語で表記されてある印鑑を用意して使うことができます。
□英語の印鑑を作る際の留意点
*書体に注意する
日本語の印鑑では、偽造防止のため「印相体(いんそうたい)」といった少し崩した書体を使用することが一般的ですが、英語の印鑑の際には崩した書体を使うことは避けた方が良いです。
英語は文字数が多いため、英語の書体を崩してしまうと何が書かれてあるのか分からなくなる可能性が高いためです。
そのため、英語の印鑑を作成する際は、シンプルでわかりやすい「古印体(こいんたい)」を使うのがおすすめです。
文字の数が少ないと読みにくさが気にならないため、「筆記体」でオシャレに演出するのも良いかもしれません。
*文字の向きに注意する
英語の印鑑を作成する際は、文字の向きに注意しなければなりません。
日本語の印鑑で一般的な向きは縦書きですが、英語の印鑑では横書きにしておく必要があります。
英語を縦で書く文化は無いうえに、縦に書いてしまうと非常に読みにくいものとなってしまうためです。
また、カタカナの印鑑の際は、横書きの読む向きにも注意する必要があります。
印鑑によっては、「村木」(本来は木村)のように印影を右から左に読む場合があり、カタカナでは「ロバート」が「トーバロ」となるのです。
印鑑を作る前に、あらかじめ向きを印鑑業者に伝えておくと安心です。
□外国人へ印鑑はプレゼントできる?
日本の印鑑は、その独特の文化や歴史的背景から、海外の方へのユニークなプレゼントとしても人気があります。
しかし、外国人へ印鑑をプレゼントする際には、いくつかの注意点があります。
1:印鑑の効力をきちんと伝える
日本では、不動産の購入や契約書の署名など、多くの場面で印鑑が必要になります。
しかし、印鑑文化がない国の方にとっては、その重要性を理解しにくい場合があります。
プレゼントする際は、印鑑の効力や使用する場面について、丁寧に説明することが重要です。
2:名前の表記についての注意
外国人の名前を印鑑にする場合、アルファベット表記やカタカナ表記にするかは、その人が登録している名前に依存します。
特に、実印として使用する場合は、銀行や公的機関に登録されている名前と一致する必要があります。
そのため、プレゼントとして印鑑を制作する際は、事前にその人の名前の表記を確認することが大切です。
3:デザインの選択
日本の伝統的な印鑑だけでなく、最近では個性を表現するためのデザイン印鑑も人気があります。
海外の方へのプレゼントとしては、その人の趣味や好みを反映したデザインのものを選ぶと喜ばれるでしょう。
また、プレゼント用として特別な材質やカラーを選ぶことも、一つのアイデアです。
以上のように、外国人へ印鑑をプレゼントする際には、その効力や名前の表記、デザインについての注意が必要です。
適切な説明と配慮を持って選べば、日本の印鑑は海外の方にとっても特別な意味を持つプレゼントになるでしょう。
□英語で印鑑を作成するときにおすすめの書体
近年、グローバル化が進む中で、外国人名のアルファベット表記を用いたデザイン印鑑が注目を集めています。
特に、英語での名前を刻印した印鑑は、海外の方へのプレゼントとしても、また自分用としても個性を表現するアイテムとして人気です。
ここでは、英語で印鑑を作成する際におすすめの書体について紹介します。
1:流麗英字体Neon
この書体は、繊細で流れるような文字が特徴です。
大胆に余白を生かしたデザインが、独特の雰囲気を醸し出します。
特に、筆記体のサインのような自由さを持ちつつ、形状が決められている印影の制限を逆手に取ったデザインは、多くの人々から好評を得ています。
2:端正英字体RAIL
直線を大胆に生かしたグラフィカルなデザインが特徴の書体です。
線の太さを均一に揃えつつ、文字どうしや枠が接するように配置されており、シンプルながらも複雑に線が交じり合うデザインが、スタイリッシュな印象を与えます。
これらの書体を使用することで、アルファベット専用のオリジナル書体を用いたデザイン印鑑が完成します。
海外の方へのプレゼントとしてはもちろん、自分用の印鑑としても、その人の個性や趣味を表現できます。
□まとめ
英語で書かれた印鑑を作成する際のポイントと留意点を、個人と法人に分けてご紹介しました。
英語が書かれた印鑑は作ることができますが、印鑑登録の条件に当てはまっていないと、使用できないため気を付けなければなりません。
また、文字数が多くなりやすい英語は印影が読みにくくなってしまう可能性が高いため、古印体を使うなど書体に気を付ける必要があります。