2023.12.15カテゴリー:印鑑について 印鑑の種類について
電子印鑑が普及して、若い世代の方だと印鑑を持ってはいても使ったことはないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
身近で印鑑を使う場面は色々ありますが、身近な例だと領収書の押印に使う時を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実は領収書には押印は必要ありません。
そこで、今回は領収書に押印が必要ない理由やそれでも領収書に押印をすることが好まれている理由、押印の仕方、領収書の記載事項などについてご紹介します。
今まで、印鑑の使い方や領収書の記入事項についてよく知らなかったという方や印鑑を使ってみたいという方はぜひ当記事を参考にしてください。
□領収書とレシートの違い
領収書とレシートは、どちらも購入やサービス提供の証明書類ですが、いくつか異なる点があります。
それぞれの特徴を理解することで、適切な書類を選択できます。
1: 記載内容
領収書には、取引日、品名、数量、金額、発行者の氏名または名称、発行者の住所などが記載されます。
一方、レシートには、品名、数量、金額、発行日時、店舗名などが記載されます。
領収書は、取引内容を詳細に記載することが求められます。
2: 変更の可否
領収書は、発行後に内容を変更することはできません。
これは、領収書が取引内容を正確に記録する書類であるためです。
一方、レシートは、内容を変更できる場合があります。
例えば、レシートに記載された金額を修正する場合には、修正箇所を訂正し、発行者のサインや印鑑を押すなどの対応が必要となります。
3: 宛名の有無
領収書には、宛名が記載されることが一般的です。
宛名は、領収書を受け取る相手の名前や会社名を表します。
一方、レシートには、宛名が記載されない場合もあります。
□会社印の押印方法
領収書に会社印を押す際、どのような印鑑を使用すれば良いのか、押印する場所はどこが良いのか、インクの色は。シャチハタは使えるのか。など、様々な疑問があると思います。
ここでは、具体的な押印方法について解説していきます。
1: 形状は角印が一般的
領収書に押印する印鑑は、一般的に角印と呼ばれる正方形の印鑑が使用されます。
丸印は実印として利用されることが多く、法的効力を持つため、重要な場面で使用されます。
領収書に丸印を使用することは法律上禁止されているわけではありませんが、偽造防止の観点から、角印を使用することをおすすめします。
2: 押印箇所は規定なし
領収書に印鑑を押す場所については、明確な規定はありません。
しかし、一般的には、書面の下部、発行元の企業名や住所等の上から被せて押印することが多いです。
領収書のフォーマットによって、押印する適切な場所は異なるため、あまり不自然ではない場所に押印するのが良いでしょう。
3: インクの色は赤が一般的
領収書に押す印鑑の朱肉の色は、赤が一般的です。
黒色のインクを使用しても特に問題はありませんが、黒いインクだと下に書いてある文字と色が同じなので見にくくなってしまう可能性があります。
そのため、赤色のインクを使用することをおすすめします。
4: シャチハタでも問題なし
領収書に押印する印鑑として、シャチハタを使用しても問題ありません。
ただし、シャチハタを使用する場合、印影が薄く、かすれてしまう場合があるため、しっかりと押印する必要があります。
また、会社によっては、シャチハタの使用を禁止している場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
5: 印影の印刷でもOK
領収書に印鑑の印影を印刷することも可能です。
印刷の場合は、専用のソフトやプリンターを使用する必要があります。
印刷された印影は、実物の印鑑と区別がつきにくい場合もあるため、偽造防止対策として、印刷された印影に「印刷」などの文字を入れておくことをおすすめします。
6: 個人事業主の場合は個人名の印鑑でもOK
個人事業主の場合は、会社印ではなく、個人名の印鑑を使用することも可能です。
ただし、税務申告など、会社印が必要な場合もあるため、事前に確認しておくことが大切です。
□領収書への押印に関するルール
領収書への押印は、必ずしも必要ではありません。
しかし、押印することで、領収書が偽造されるリスクを軽減できます。
また、押印を行うことで、取引内容の明確化や発行者の責任を明確にする効果も期待できます。
1: 印鑑を押す場所
領収書に印鑑を押す場所については、明確なルールはありません。
一般的には、発行者の名称や所在地などの情報が記載されている部分に重なるように押印するケースが多いです。
これは、発行した領収書が改ざんされてしまうリスクを軽減するためです。
2: 領収書への押印は誰が行う
領収書への押印は、代表者が行う必要はありません。
領収書を発行するたびに代表者に印鑑を押してもらうのは現実的とは言えないでしょう。
3: 電子印鑑による押印も可能
近年、電子帳簿保存法の改正により、領収書を電子データで保存することが可能となりました。
そのため、紙媒体の領収書における押印の代わりに、電子印鑑で押印することも可能です。
4: 収入印紙の消印
領収書は、印紙税法で定められている「課税文書」に該当し、取引金額が税抜きで5万円を超える場合には収入印紙の貼付が必要です。
収入印紙を貼る際には、消印を行う必要があります。
消印とは、その収入印紙が使用済みであることを示して再利用を防ぐための処置であり、消印を行わないと過怠税が課される可能性があります。
消印の方法は、領収書に収入印紙を貼り付け、領収書の書面と収入印紙の境目をまたがるように印鑑を押します。
使用する印鑑の種類に決まりはなく、角印や三文判でも問題ありません。
また、印鑑の代わりにボールペンなどで署名する方法も有効です。
□電子領収書への押印について
電子領収書は、紙の領収書と比べて、保管や管理が容易で、環境負荷の低減にも貢献します。
しかし、電子領収書への押印については、いくつか注意すべき点があります。
1: 電子領収書の法的効力
電子領収書は、紙の領収書と同じように法的効力を有しています。
電子帳簿保存法では、電子データで保存された領収書は、紙の領収書と同様に証拠力を持つとされています。
2: 電子印鑑の利用
電子領収書に押印する場合には、電子印鑑が利用できます。
電子印鑑は、従来の印鑑と同様に、発行者の身元を証明する役割を担います。
電子印鑑を利用することで、紙の印鑑と同様の法的効力を有する電子署名を作成できます。
3: 電子領収書の注意点
電子領収書は、紙の領収書と比べて、偽造や改ざんの可能性が低いといわれています。
しかし、電子領収書を発行する際には、以下の点に注意する必要があります。
・発行者の情報が正確に記載されているか。
・記載されている内容が正しいか。
・電子領収書の保存方法が適切であるか。
□領収書の印鑑は経理上必要なの?
領収書と印鑑の関係については、多くの誤解と古い慣習が絡んでいます。
経理の現場で広く信じられている「領収書には印鑑が必要」という概念ですが、実際のところ、現代の経理処理では必ずしもそうではありません。
税務処理の観点では、領収書に押印は不要とされています。
これは税務調査を行う国税庁自身も、2021年4月1日以降、確定申告書などの申告書類の押印を不要としていることからも明らかです。
*領収書には押印が必要ない理由
国税庁のホームページに掲載されている領収書の記載事項には、押印は含まれていません。
領収書に必要なのは消費税法で定められており、書類作成者の氏名または名称、取引年月日、取引内容、税率ごとに区分して合計した税込対価の額、書類の交付を受ける事業者の氏名または名称の5項目です。
ここに印鑑の記載はないため、法的には押印は必要ありません。
*経理処理の際に必要な領収書の項目
上記のように押印がなくても経費処理は可能です。
しかし、領収書と認められるには記載しなければならない必須の項目があるので、覚えておく必要があります。
国税庁は、以下の項目を記載することを必須としています。
1:タイトル
領収書に何が記載されているのかを示すために記載します。
上部に「領収書」と大きく目立つように記載しましょう。
2:日付
支払いを行った年と月、日にちを記載します。
3:金額
取引金額を記載しましょう。
購入した商品が軽減税率の対象品目である場合はその旨も記載する必要があります。
また、軽減税率の対象品とそれ以外の物が混ざっている場合は、税率ごとに合計した税込みの金額を記載する必要があります。
4:但し書き
取引したサービスや商品の品目を記載します。
例えば、居酒屋やレストランなどで飲食した場合は「飲食代」、ノートやペンなどの文房具は「事務用品代」、タクシーの運賃やホテルの宿泊費などは「旅費交通費」と記載します。
5:宛名
誰宛に発行したかが分かるようにするために記載します。
商品やサービスの購入者のような発行を受ける者の名前や会社名を記載します。
6:収入印紙
5万円以上の取引で領収書を発行する場合は印紙税を納める必要があります。
収入印紙を貼付する場所を設けて、印紙税が必要な取引で領収書を発行した場合、貼付欄に収入印紙を貼ります。
7:発行者
領収書を発行する者の名前や会社名を記載します。
□それでも印鑑を押すべき理由とは?
印鑑が法的には不要であるという事実にもかかわらず、実務上、印鑑を押すことには一定の理由が存在します。
領収書に押印をした方が良い理由は以下の通りです。
*偽造防止
領収書に押される印鑑は、多くの場合、会社の角印です。
この押印の主な目的は、文書の偽造を防ぐことにあります。
特に、第三者による領収書の偽造は会社の信用問題に直結するため、押印によって正式な文書であることを証明することは重要です。
*商習慣としての印鑑
日本のビジネスシーンでは、長年にわたり印鑑が重要な役割を担ってきました。
領収書に印鑑がないと、一部の取引先からは「不適切な扱い」と見なされることもあります。
これは、商習慣やマナーとしての側面が強いため、特定の業界や取引先に対しては、印鑑を押すことでスムーズなビジネス関係を維持することが可能です。
□領収書に押印する方法!
領収書に押印は必要ではありませんが、可能であれば押印した方が良いです。
領収書に印鑑を押す場合、その方法にはいくつかのポイントがあります。
適切な押印方法を理解し、業務の正確性を保ちましょう。
領収書に押印する場合は以下のポイントを押さえましょう。
*どこに押す?
領収書に印鑑を押す際、特に決まったルールはありませんが、一般的には発行者の情報が記載されている部分の近くに押印するのが無難です。
通常、発行事業者の名称や住所などが記載されている右側の空白部分が適しています。
ただし、文字が読めなくならないよう注意が必要です。
そして先ほどもご紹介しましたが、領収書には押印以外にもタイトルや日付、金額、但し書き、宛名、収入印紙、発行者など記載すべき内容がたくさんあるため忘れないようにしましょう。
漏れのないようにしっかりと確認することをおすすめします。
*印鑑の種類はどうすれば良い?
領収書に使用する印鑑には特に規定はありません。
スタンプ式の浸透印(シャチハタ)でも構いませんし、一般的には角印が用いられます。
ここで大切なのは、文書の正式性を示すために印鑑を使用するという点です。
ただし、印鑑の種類によっては、フォーマルな取引先に対しては不適切と受け取られることもあるため、取引の性質や相手に応じて選択することが望ましいです。
□収入印紙の場合はどうなの?
先ほど解説しましたが、領収書に関するもう一つの重要な要素として収入印紙があります。
これは、印鑑とは別の役割を持ち、特に高額取引において重要になります。
5万円以上の取引に対する領収書では、収入印紙の貼付が必須です。
これは、高額取引の公式な証明として、印紙税法に基づくものです。
印紙税は、取引の正式性と合法性を保証するための税金であり、適切な取り扱いが求められます。
収入印紙を領収書に貼り付けただけでは不十分です。
正式に納税を完了するためには、割印(消印)が必要です。
割印は、収入印紙と台紙の両方にまたがるように押される印鑑で、再利用を防ぐための重要な手続きです。
この割印を怠ると、納税が成立しないため注意が必要です。
□領収書がない場合の対処法
領収書を紛失した場合や、そもそも領収書が発行されていない場合は、どのように対応すれば良いのでしょうか。ここでは、領収書がない場合の対処法について解説していきます。
1: 再発行
領収書を紛失した場合、発行元に再発行を依頼することができます。
ただし、再発行を拒否される場合もあります。
再発行を拒否された場合は、購入証明書や支払い証明書など、代用できる書類が発行できるかどうか相談してみましょう。
2: 出金伝票
領収書を紛失した場合、出金伝票に記録しましょう。
出金伝票には、支払先、日付、領収書の但し書きと同等の内容や金額を記載することで、領収書の代用として利用できます。
ただし、出金伝票は自社で自由に発行できるため、書類としての信用度は領収書より劣ります。
できるだけ領収書を手元に残しておくようにしましょう。
3: 代用できる書類
領収書がない場合、代用できる書類として、レシート、請求書、納品書などが挙げられます。
レシートは、領収書と同等の効果を発揮します。
請求書や納品書は、領収書として使用できない場合もありますが、取引先によっては、領収書として認められることもあります。
□まとめ
本記事では、領収書に印鑑が必要であるかどうか、領収書にはできるだけ押印をした方が良い理由、領収書に押印する方法、収入印紙に関する注意点について解説しました。
領収書に印鑑を押印する必要はありませんが、印鑑を持っているのならば、セキュリティ面の問題や昔から印鑑はビジネスのシーンとして使われているためマナーの観点などから使った方が良いでしょう。
領収書に印鑑を押す際には発行者の情報が記載されている部分の近くに押印するのが一般的です。
また、使用する印鑑については種類に指定は基本的にありませんが、一般的には角印が用いられていることが多いです。
押印が必要ない場合でも、領収書にはタイトル、日付、金額、但し書き、宛名、収入印紙、発行者など記載すべきことが多くあります。
特に収入印紙については注意しておくべきことがたくさんあるため、やり方を覚えておきましょう。
今回ご紹介した内容を参考にして、時と場合に応じてうまく印鑑を利用しましょう。
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