2019.2.5カテゴリー:印鑑の書体について
最近は新しい事業を初めて起業する人が増えてきていますよね。 会社を設立するための作業や、設立してからの仕事では、重要な書類や契約書がたくさんあります。 その度に必要なのが印鑑です。 ビジネス社会ではこの印鑑は日常で使うよりも、重要な意味を持っています。 そんな重要な印鑑に、どのような種類のものや書体が適しているのでしょうか。 そこで今回は、会社設立に必要な印鑑についての知識、適した印鑑の選び方についてご紹介します。
□4種類の印鑑を揃えるべき
会社印鑑は、会社設立のときに管轄法務局に代表者印として提出する印鑑1つあれば、会社を運営することができます。 しかし、1種類の印鑑だけでずっと運営し続けることはおすすめできません。 1種類の印鑑に頼ってしまうと、金融に関する書類などの他の場面でも同じ印鑑を使用することとなり、リスクが集中してしまいます。 そのリスクを分散させるために、会社のための印鑑は4種類を使い分けているところが多いです。 4種類については下記の通りです。
*代表印(法人実印)
会社設立の際に法務局に提出して登録する印鑑です。 特に規則はないですが、ほとんどの人は直径18mmのものを使用しています。
*銀行印
法人口座開設時、手形や小切手のためなど、金融に関する場合に押す印鑑です。 代表員と同じくらい重要なものですので、区別がつきやすいように、サイズを変えたり字体を変えたりする人が多いです。
*社印
会社の請求書や見積書、領収書などの書類に使う印鑑です。 代表印を使用するほど重要ではない書類に頻繁に使われます。
*ゴム印
本店所在地、電話番号、会社名、氏名などが彫刻された印鑑です。 署名が必要な書類に自筆でサインする代わりに使用されます。 ポンと押すだけで終わるので、手書きで書くよりも断然早く済みます。
□書体の種類と選び方について
印鑑に使用される書体の種類はたくさんあります。
会社の印鑑の場合、会社名を入れる必要があり、どうしても文字数が多くなってしまいます。
そこで太めの書体を使用してしまうと文字が潰れてしまうのです。
そんなことを防ぐために、シャープな書体が会社の印鑑に適しています。
ここからは、会社印鑑におすすめの書体を紹介します。
*篆書体
会社印鑑で使用される書体で一番多いのが篆書体です。
全ての書体の中で最も古い歴史があり、約2300年前に秦を統一した始皇帝がそれまでに作られた漢字を整理してまとめたのが篆書体の始まりです。
そのため、現代の漢字とはかけ離れた字体になっています。
それが後述する防犯性にも繋がっています。
字体は、シャープな線が最大の特徴です。
垂直原理をもとに作られており、独特な形をしていて読みにくいため偽造されにくいという長所があります。
会社で使用する印鑑は、このように偽造されにくいというセキュリティの高さがとても重要です。
印鑑1つで状況が全く変わってしまうこともありますので、会社印鑑には篆書体を使用することをおすすめします。
*印相体
篆書体の次に人気なのが印相体です。
印相体は、古代中国の印章史から伝わるもので、篆書体が発展してできた書体です。
そのため、篆書体と少し似ています。
堂々とした力強い印象を与えながら、柔らかさも兼ね備えているため、様々な用途で人気を博しています。
また、印鑑の偽造が少しずつ起こるようになった時代に、対策として複雑化を図った結果できたのがこの印相体と言われているため、セキュリティ面でも非常に優れています。
外に広がるような字形をしており、印鑑の外枠に触れている点が他の字体に比べて圧倒的に多いです。
そのため、外縁が欠けにくく、印鑑を長持ちさせるというメリットがあります。
*吉相体
篆書体と印相体から進化したのが吉相体です。
刻印する文字にもよりますが、枠に向かって広がっていくようなデザインが特徴です。
外側への広がりが指紋や手のしわに見え、この広がりが吉相体という名前の語源とされています。
*隷書体
篆書体から派生して、よりシンプルな形になったのが隷書体です。
全体的に直線的でバランスが整っているのが特徴です。
一字一字が横長で、独特なハネは竹筒によるものとされています。
端正で洗練された印象を受けるデザインではありますが、篆書体や印相体に比べて読みやすいので実印や銀行印にはあまり向いていません。
皆さんの身近なものでいうと、お札の金額の文字にこの書体が使用されています。
*古印体
隷書体が元となり、より丸みを帯びた形へと進化したのが古印体です。
起源は、日本の鋳造物の金属に描かれていた文字だと言われています。
他の書体は中国が起源のものが多いですが、この古印体は日本独自の書体で日本古来の雅を楽しめる書体と言えます。
鋳造物に描かれていた文字が錆びた後にその見た目から面白さを見出されてできたという背景があるため、独特の文字の線の濃淡や切れ目が大きな特徴です。
*楷書体
隷書体をより見やすく筆で書いたようにアレンジしたのが楷書体です。
美しく整然とした書体で、書道においてはお手本になっていることからも分かる通り、一般的にもよく使われている書体となっています。
シンプルかつ毅然とした字はどんな時代においても人々に親しまれており、現代では個人印鑑だけでなく法人印鑑としても多くの人に選ばれています。
*選び方のポイント
ここまで印鑑に使用される書体について紹介してきましたが、実際にはどうやって書体を選べば良いのでしょうか。
さまざまな書体があるので、書体選びをどうしようかお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここからは、書体選びのポイントについて紹介します。
1つ目は、偽造されにくいものを選ぶことです。
法人印鑑は言わば会社の顔であり、非常に大切なものなので、最大限の防犯対策を行う必要があります。
悪用されてしまえば会社の信頼性をダイレクトに下げてしまうので、より複雑なものを選びましょう。
2つ目は、適度に読める書体を選ぶことです。
もちろん複雑であればあるほどセキュリティ面での心配はなくなりますが、一方であまりにも複雑で読めない字体だと可読性が低くなり、取引先の方に確認してもらう際に一苦労することもあるので注意しましょう。
非常にシンプルなデザインであれば防犯性が低く、逆に複雑過ぎると可読性が低くなり不便です。
最も良いのはシンプルと複雑のちょうど中間あたりのデザインにすることですが、唯一無二の個性を出すことも大切です。
他の誰とも違う自社の個性をアピールするのに、法人印鑑は良いツールなので、防犯性と可読性の両方を満たした上で面白味のあるデザインを目指すと良いでしょう。
*回文について
みなさんは、「回文」をご存じでしょうか。
法人印鑑を作成する場合は、回文についても知っておきましょう。
回文とは、法人印鑑の周りに彫刻してある文字のことです。
基本的にこの回文には法人名や屋号名、団体名などといった組織の名称を刻印します。
また、法人登記の際に用いる正式な法人の商号ではない内容を刻印しても、法人代表印として認められます。
例えば、「特定非営利活動法人」では文字数が長くなるので「NPO」と略して刻印しても問題ありません。
□おすすめの印鑑の材質
印鑑の材質は、その印鑑の押しやすさを左右する重要なポイントです。
特に会社の印鑑の場合、重要な書類を取り扱うことが多いので、印鑑で失敗することはできませんよね。
押しやすさ、耐久性が重視されています。
ここからは、会社印鑑におすすめの材質を3つご紹介します。
*チタン
実印としてもっとも人気なのは、チタンです。
会社の印鑑にはセキュリティの高さと優れた耐久性が求められます。
チタンは耐久性、耐火性にとても優れており、丈夫な材質ですので長くご利用いただけます。
ずっしりとした重量感があり、押すときに安定しやすくブレにくいのもポイントです。
また、印影もシャープにはっきりと写りやすいので、文字が潰れる心配はありません。
会社を長く続けたいという想いを込めてチタンの印鑑を選ぶ方も多いです。
*黒水牛
黒水牛は銀行印として人気の高い印材です。
漆黒の艶のある美しさが特徴的で、耐久性にも優れています。
牛の角を使用しているため、ひび割れを起こしにくいのです。
また、朱肉に馴染みやすい材質を使用しており鮮明に印影を写すことができるため、失敗せずに印鑑を押すことができるでしょう。
*玄武
木材印鑑の1種です。
長く使用してもヒビ割れや変形、変色することもほとんどなく、耐久性の高さが一番の特徴です。
上品な黒色に木目柄がやわらかい優しい印象を与えてくれます。
なによりその美しいデザインに心惹かれ玄武印鑑を選ぶ方も多いです。
□さいごに
今回は、会社設立のときに持っておきたい印鑑のおすすめの書体と材質の種類についてお伝えしました。
どのような印鑑が会社の印鑑に向いているのか知っていただけたのではないでしょうか。
一度購入した印鑑は、その後も長く使用し続ける大切なものです。
せっかく購入するのですから、良質で長く使いたくなるような印鑑を選びましょう。