2021.5.10カテゴリー:印鑑の種類について
季節が変わり印鑑が必要になる場面が増えてきていますよね。
印鑑は朱肉がない状態では使えないので買う時には朱肉と一緒に購入される方が多くいます。
さて、印鑑を使用する際の色について疑問に思われたことはないでしょうか。
ここではインクの色について紹介します。
購入の際にはぜひ参考にしてみてください。
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□色について知っておこう!
銀行の開設や契約などの重要な場面で必要になる印鑑ですが、印鑑とは別に朱肉が必要です。
朱肉は印を押す際に赤く色づける役割を担っています。
一般的に朱色が使用されていますが、朱色以外でも印を押すことは可能なのかについて疑問に思ったことはないでしょうか。
実際には印鑑に使用されるインクの色にはさまざまな種類があります。
インクの色は法的には定められておらず何色でも問題はありません。
思い返してみると書類をファックスで送る際は原本に朱色で印鑑を押してもモノクロを選択すると黒色になってしまいます。
しかし、このような場合でも書類としてしっかりと受理してもらえています。
ここからわかるように、印鑑の色は朱色に限定はされていないのです。
よく目につく印の色は印刷後の黒色や鮮やかな朱色ですよね。
世の中には虹色の印を押しても問題がなかったという例もあるようです。
つまり、印鑑は指定されない限り何色でも使用可能ということですね。
□印鑑はなぜ朱色を使用しているのか?
ここまでは印鑑の色について紹介しました。
法律上では色に縛りはなく自由なことを理解できたと思います。
それではなぜ、印鑑は朱色をしているのでしょうか。
ここでは、なぜ朱色が使用されているのかについて紹介します。
1つ目は、「神の力」です。
印鑑は紀元前5000年頃のメソポタミアで生まれたといわれています。
その時代では、現在のような印の印鑑は使用されておらず、円筒形の外周部分に絵や文字を刻み、これを粘土板の上に転がしていました。
印を捺す理由は、印には聖なる力が宿っていると考えられていたため、印によって所有物を守ってもらうためでした。
封印という言葉があるように、封をしておけば守られます。
また、朱色は太陽や炎といった神を連想させることから神聖な色とされていました。
このような理由から印は朱色を使われているようです。
2つ目は、鮮やかであるからです。
単純なように聞こえますが、朱色は圧倒的に鮮やかで目につきやすいです。
古くから文字を書くときには、墨などの黒色のものが使われており対照的な朱色が好まれました。
朱色は対照的な色であることや、長い年月が経過した際にも変色する可能性が低いことが使用される理由です。
3つ目は、高貴の色であるからです。
中国で朱色は古くから高貴の色とされていました。
歳月に関係がなく鮮やかな色が続くことから、黄金の不老不死の色として使用されていました。
さらに日本でも朱色は高価なものとされていました。
当時中国が文化の先進国であったため日本が朱色を使っていることも珍しくはありませんね。
ここまで、印鑑が朱色である理由をご紹介しましたが、本来の朱肉の原材料が何かをご存じでしょうか。
朱肉の原材料は、「顔料」「油」「繊維質」です。
現在は猛毒であるため使われていませんが、縄文時代以降、水銀朱が使用されていました。
水銀朱は、正式名称で言うと「赤色硫化第二水銀」と言います。
その独特な赤色が親しまれて使われていました。
中国の辰州で沢山産出されていたので、「辰砂(しんしゃ)」とも言われています。
水銀朱の他にも弁柄とも言われる酸化鉄赤や鉛なども金属系のものも利用されましたが、水銀朱以上に綺麗な朱色はで作られませんでした。
さらに、水銀朱はただ綺麗というだけでなく長い間色褪せないという魅力もあり、非常に貴重なものとして扱われていました。
よく神社やお寺で朱色が使われているのを目にする方は多いでしょう。
また、東大の赤門も朱塗りですよね。
それは、昔から貴重なものと位置付けられていたことが影響しています。
また、水銀朱は不老不死にも効くと言われていたので、秦の始皇帝は長く生きたいという願望から水銀朱を飲み中毒死したと史書に残されています。
中毒死を引き起こすほど猛毒な水銀は今では使われなくなりましたが、先ほどご紹介したような人工物の朱肉が使用されるようになりました。
朱肉は、顔料に油と繊維質のものを練り合わせて作られますが、ヒマシ油や松脂、もぐさ、和紙などを練り合わせると手作りでも作れますよ。
現在は、水銀朱が利用されることはありませんが、このような歴史があったということを知ると興味深いですね。
□インクの種類や特徴について!
ここまでは印鑑に朱色が使われている理由について紹介しました。
印鑑は古くから存在するものであるため縁起が良く神聖なものだという考えがありました。
一般的に広く使われているインクは今も昔も朱色ですが、インクにはいくつか種類があります。
そこでここでは、インクの種類や特徴について紹介します。
また、朱肉の種類についてもご紹介します。
*水性インクの特徴
水性インクは不純物が少ない精製水を使用してつくられたインクです。
そのため匂いが少なく粘度が低いです。
水性インクの特徴は、扱いやすい一方で乾くのに時間がかかるためしっかりと乾くまで待つ必要があることです。
また、水性であるためビニールに書いてもはじいてしまい色がつきません。
*油性インクの特徴
油性インクは有機化合物が含まれている溶剤で作られています。
水性インクとは違い、印字はすぐ乾くため手でこすれてしまう心配はありません。
また、ビニールにはじかない性質であるため印字が可能です。
しかし、粘度が高いことから扱いにくいという難点もあります。
*不可視インク(インビジブルインク)
不可視インクは特殊なインクであり、自然光では見えずUVランプを照射することで青く光るアルコールベースのインクです。
これは優れた固着力を備えており、非浸透面での印字に適しています。
主な用途例としては、光沢紙、金属、プラスチックなどで使用されます。
*紫外線硬化インク
UVインクとはUV光(紫外線)を照射させることで固まるインクを称します。
UVインクは、水に溶けないことから多彩なメディアへの適正と耐久性、高い速乾性による短納期への対応などが評価され出荷量は近年増加傾向です。
ノベルティや、タッチパネルのインサートフィルムやスイッチへの印字などに適しており用途に応じて使用できるインクです。
ここまでインクの種類をご紹介しましたが、朱肉にもさまざまな種類があります。
朱肉は、印肉とその容器を含めた総称です。
プラスチック製の容器に入っているものや、スポンジタイプの朱肉もあります。
ここからは、「スポンジ朱肉」「印泥」「練朱肉」の3つの朱肉の種類をご紹介します。
1つ目は、スポンジ朱肉です。
スポンジ朱肉は、朱色の顔料を松脂と混ぜ、朱油を絞ってインク状にしたものをフェルトやスポンジに染み込ませたものです。
スポンジ朱肉は、朱油がムラなく均等に吸着するので、押印が容易になります、
また、乾きが早いので手に朱肉がついてしまう心配もありません。
専用の朱油も販売されているので、補充も簡単にできます。
しかし、印影に厚みがないので鮮明さが足りないところがデメリットです。
2つ目は、印泥です。
先ほども少しご紹介しましたが、中国の辰州で産出された辰砂を粉末状にし、水で溶き、そこにヨモギの繊維とヒマシ油を混ぜ合わせたものです。
また、練朱肉というものもあります。
日本での練朱肉のスーツは印泥です。
ヒマシ油に松脂と木蝋を一緒に混ぜて加熱して、ドロっとした油を作ります。
その油に朱肉の顔料を加えると朱油になり、そこに和紙を加え練り上げることで完成します。
いずれも印影の長期保存に優れています。
黄色っぽい黄口や赤みがかった赤口の色味が一般的です。
紫外線による影響を受けないので、退色もしません。
そのため、ずっと綺麗な印影が残せるので、重要書類に適しています。
一方、デメリットは高級品になるほど劣化しやすく、定期的にヘラでかき回して泥質を整える必要があります。
さらに、印面に印肉を綺麗に付けるのが難しいです。
慣れるまでは人差し指に印肉を付着させてから指で印面を付けると良いでしょう。
押印後の乾きも比較的ゆっくりなので、滲まないように気をつけましょう。
扱いは難しいかもしれませんが、鮮明な色味なので一度使用してみると驚くかもしれません。
最初に解説したように、最近はさまざまなインクの種類があります。
ご自身が押印しやすいインクを探してみてはいかがでしょうか。
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□まとめ
今回は印鑑のインクの色について紹介します。
印鑑は重要な場面で使われますが、インクの色に規則はなく自由でしたね。
しかし、一般的に使用されている朱色のインクには神聖な意味も込められていました。
今回の記事によって印鑑の知識は深まったと思います。
印鑑などでお悩みの方はぜひ一度当社にご相談ください。