みなさん印鑑の書体に興味はありますか?それともあまりないですか?
正直なところ印鑑の書体って普段の生活に馴染みのないものだし、違いもよくわからないという方が大半を占めているのではないかなと思います。
ですが実は、印鑑の書体にはいろんな種類があり、それぞれの書体に適した印鑑の種類や特徴があるものなのです。
そこで今回はそんな数ある印鑑の書体の中でも、印相体(いんそうたい)という書体についての解説を行っていきたいと思います。
基本知識
印相体は別名で吉相体(きっそうたい)とも呼ばれることがあります。
印相体は篆書体(てんしょたい)という書体をベースとして作られたものになります。
篆書体と比べてさらにデザイン化されている書体と言えます。
こちらの印相体ですが、大切な印鑑、主に実印などを作る際に用いられることが多いものになっており、主に3つほど理由があります。
①字体が複雑になっており偽造される可能性が低い
印相体は篆書体よりも複雑で、他人が彫刻内容を見たときに、一目で何と彫られているかがわかりにくく、防犯性にも優れています。
字体が複雑で判読性が低ければ低いほど偽造されにくいというメリットになります。
また、他の書体とは異なり、字体にオリジナリティーを大やすいというところもメリットになります。
彫刻師の意図を反映しやすく、あなただけのオリジナルの文字のデザインを作ってもらいやすいんですね。
なので、セキュリティー面ではかなり優れて書体であると言え、特に銀行印や実印に適しているのです。
②印鑑が欠けにくい
他の書体に比べて印相体は、文字が縁に接している面が多いという特徴があります。
これは言い換えるとそれだけ縁が欠けにくい書体だと言い換えることができます。
印鑑が書ける時の原因の大部分を占めるのは、縁が欠けてしまったことによるものなのです。
縁が欠けているだけで文字が欠けていなければもちろん印鑑としての機能は果たすことができますが、一部分でも欠けてしまうとそこからどんどん広がってしまうことも考えられるので欠けないに越たことはありません。
そういった面で印相体は優れている書体だと言えますね。
③縁起が良いとされている。
印相体は縁起の良い書体であると言われています。
その理由として、文字が外枠と接し、外へ外へと伸びるデザインであるという点が挙げられます。
また、印鑑の丸い枠の中に詰まってデザインされた文字であることが一つ。そして、他の書体で作成した同じサイズの印鑑と比べると大きく堂々として見えるという点も縁起が良いとされている理由としてあげることができます。
ちなみにこの印相体の書体に関しては、「開運吉相印八方篆書体」とも呼ばれています。運気などを気にされる方は印相体にしてみても良いかもしれませんね。
印相体以外の書体について
印鑑に使用される書体としては、印相体以外のものも存在します。
ここでは4つの種類を紹介します。
篆書体
これは、印相体の元となっている書体です。
現在使用されている文字とは形状が異なっているため、可読性が低く、偽造しにくいのが特徴です。
パスポートの「日本国旅券」や郵便切手の「日本郵便」などの身近なものに使用されています。
また、会社設立時に使用する法人実印や、金融機関との取引で使用する法人銀行印などにこの書体は使用されるため、重要な場面でも見かけることの多い書体です。
太枠篆書体
これは、先ほど紹介した篆書体が元になっている書体ですが、一般的な篆書体よりも外枠が太くて文字が細いのが特徴です。
外枠が太いことから、耐久性が高いことがメリットとして挙げられます。
そして、可読性も低いため、実印や銀行印に向いています。
古印体
これは、全体的に丸みがあるデザインが特徴の書体です。
複製することを防ぐために作られた書体ですので、文字がかすれていたり、墨だまりがあったりします。
会社の認印や社印といった日常的な印鑑として人気があります。
複製しにくいため、実印として使用できるということも魅力的です。
隷書体
これは、篆書体を改良して作られた書体です。
現在使用されている文字に比較的近い書体として知られています。
文字の見た目は現在のものと似ていますが、紀元前から歴史があり、日本のお札である「日本銀行券」や「壱万円」に使用されています。
可読性が高いため、日常的に使用する印鑑として非常に多く使用されています。
印鑑の書体を選ぶポイントとは?
ここまで書体について解説してきましたが、結局印鑑の書体はどのように選ぶのが良いのでしょうか。
まず、実印や銀行印などの、偽造されては困る印鑑について解説します。
これらは自分以外の人に同じようなものを作られてしまうと、お金や個人情報に関わる問題が発生する可能性もあるため非常に危険です。
そのため、簡単には読み取れない書体にするのがおすすめです。
例えば、印相体や篆書体はその点に合っているでしょう。
印鑑に耐久性を期待する場合は印相体を使用すると良いですが、木製のものだけではなく金属といった耐久性が高い素材もあるので、素材で耐久性を高めることも可能です。
数ある素材の中で、どれが簡単には壊れないかを考えて選ぶことで、欠けたり破損したりすることを防げます。
重要な印鑑の場合、簡単に壊れてしまうといざというときに困る可能性があります。
大切な場面で困ることがないように、素材選びは慎重に行いましょう。
次に、実印や銀行印として登録することがない「認印」について解説します。
認印として利用する印鑑は、できるだけ読みやすいものにすると良いでしょう。
具体的な種類としては、古印体や隷書体がおすすめです。
この印鑑は、宅配便を頼んだ際に荷物の受け取りをする場面や、回覧書類を確認したことを示す場面などで使用します。
そこからもわかるように、日常生活で頻繁に使用することのある印鑑です。
そのため、誰がその印鑑を押したのかを他の人が判断できるようにするために、読みやすい書体にすることが大切になります。
現在では、印鑑のバリエーションも増えてきて、認印としてゴシック体を使用した可愛いものや動物や車などのイラストが描かれたものも販売されています。
これらのものはオリジナリティがあって素敵ですが、実印登録はできないと覚えておきましょう。
ただし、日常的に使用する認印として使用したり、銀行印として使用したりすることは可能です。
そのため、使用する場面をよく考えて利用することを意識しましょう。
まとめ
ここまでご紹介したような理由から印相体は、セキュリティー、運気などの面を踏まえて実印などの大切なハンコを作る際に人気であるということができますね。
またこれは余談ではありますが、印相体は篆書体などと比べると作るのに手間がかかると言われています。
特に安売り印鑑店などで採用されているコンピューター文字で印鑑を作成する際には、篆書体などの方が文字を作るのに手間が少なくて済むのです。
なので、篆書体を強く勧められることもあるかもしれませんが気をつけた方が良い場合もあるので要注意です。
セキュリティーなどの観点もしっかりと踏まえた上で書体選びは自分の意思で決められるようにしておきましょう。
いかがでしたか?今回の記事を参考に印鑑の書体選びを楽しく進めていってくださいね。